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第129話
浴衣を検索バーに打ち込むと、パッと候補が流れてくる。
安いセットで3000円~5000円位。
勿論、良い値段がする物もあるがそれ位ならこの前の風船配りのバイトで賄える。
でも、着てくれるだろうか。
部屋で着るだけってのもなぁ
だからって出掛けたら目立つし
う"ーんと眉の間に皺を寄せる。
大学に進学し長岡の“元”教え子になったとはいえ、大学の近くに部屋がある為リスキーさは増した。
外に出る事はあまりないが、それでもそのマンションへの出入りを同級生に見られる可能性は増した訳になる。
只でさえ目立つ身長と綺麗な顔立ちの恋人。
そうでなくとも往来の視線を集めやすい。
浴衣デートは望み過ぎか。
「兄ちゃん、あ、勉強中?」
「ん、大丈夫。
どうかしたのか」
「此処で勉強させて。
んで、解らないところ教えて」
部屋の扉を少し開け、顔を見せた弟に三条は何時もの顔を見せる。
優登は変声期に差し掛かり少し声を掠れさせていた。
もうあの声で兄ちゃんと呼んで貰えなくなる。
少し寂しい。
「良いよ。
机使う?」
「床で良い。
冷たいし」
中学生になり、出来る事やしたい事の幅が広がった優登だがこういう所は変わらない。
優登は優登以外にはなれないから当たり前と言えば当たり前だが。
ワークを広げた弟から手元へ視線を戻すとぼんやりと考える。
花火大会、良いな
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