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第130話
「おはようござ、いま、す…」
「ん。
おはよ」
何時もの様に訪れた長岡の部屋。
その部屋の扉を開けてくれた長岡に三条は動きを止めた。
くりくりとした目が大きく長岡を映す。
「どうした。
暑いだろ。
ほら、入れよ」
「正宗さん、髪がない」
「あのな、ハゲみたいに言うなよ。
髪はある。
切っただけだろ」
三条の言葉に長岡は苦笑の表情を浮かべた。
昨年のこの時期よりも短く切り揃えられた髪。
先日より髪色もしっかりとはいっている。
見慣れない長岡を三条はまじまじと見ていた。
「良いから、ほら。
中涼しくしといたから入りなさい」
「あ、お邪魔します」
腕を引かれ室内に入ると足元を撫でるひんやりとした空気が気持ち良い。
奥を見れば部屋の扉が開けられたままだ。
腕を引いて先を歩く頭部はやっぱり髪が短く見慣れない。
三条は色々な物を吸収する様にその頭を眺めながら歩いていた。
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