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第145話

父方の祖父の膝の上に乗った末っ子は不満気だ。 兄は遠くで手を振るが不満なものは不満に変わりない。 さっきまで大好きな兄に抱かれていたのに、祖父母が訪れてから兄の腕の中から離された。 不満な顔をするのも無理はない。 だけど、泣かないだけお利口だ。 目の前には、朱塗りの器に盛られた赤飯、蛤の吸い物、鯛の焼き物に優登が作った煮物と漬け物が並ぶ。 祝いの膳は目にも綺麗で母と兄の愛情が詰まっていた。 「綾登、いただきます」 ごはん 吸い物 ごはん 魚 ごはん 吸い物 軽く箸でつついては口元に当てる。 これを3回繰り返す。 そして、お宮参りで分けてもらった歯固めの石で丈夫な歯が生えます様にと願いを込めた。 そこまでは目の前のご馳走に興味がいき大人しかったが、流石に飽きたらしい。 「ん"ー」 段々と綾登の顔が崩れ今にも泣きそうになると、反対にみんなの顔が笑いはじめた。 そして、とうとう泣いた綾登を母が抱っこしてお食いはじめは終わる。 「綾登、良い子だったな」 父親に頭を撫でられても母の胸に顔を埋めてぐずるばかり。 家族に見守られる末っ子を長男はカメラに収めた。

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