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第147話

大学の近くに美味しい甘味屋があるらしい。 聞いた話とスマホを頼りにその店を見付けた。 店先には朝顔の鉢が整列していて、風鈴が涼しげな音を奏でている。 此処だけ昭和の時のまま時間が止まった様な懐かしい空気が通っている。 こんな場所があるなんて知らなかった。 暖簾の奥には昔ながらの甘味がちんまりと整列していた。 微かに豆を炊いた甘いにおいが鼻孔を掠める。 「いらっしゃっいませ」 老女の声に頭を下げながら入店すると三条の目が輝く。 水まんじゅう 錦玉羹 葛きり 餡蜜 水羊羹 ひんやりしていてつるんと食べられる甘味はどれも美味しそう。 その隣には、どら焼、きんつば、饅頭、上生菓子に千菓子。 此方も、どれも全部美味しそうだ。 冷凍ショーケースにはアイスキャンディと書かれた用紙が貼り付けられている。 正宗さん何が好きかな 餡蜜…抹茶味もある うわ、生菓子綺麗 繊細だなぁ 夏を彩る花や、寒天の中を泳ぐ金魚。 ケースの中は本当に綺麗で暫く見惚れていた。

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