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第148話

汗だくになって熱くなった呼び鈴を押す。 汗が米神から顎のラインを伝い落ちてくるのを拭う。 すぐに開く扉の奥から、爽やかな人が出てきた。 それだけで心がぽかぽかする。 「おかえり」 「ただいまです」 一旦長岡の部屋に寄り、借りていた本を返却しに大学まで歩いて行った三条は汗だくで帰ってきた。 何時もはおかえりなさいと言う側だが、今日は違う。 ただいま、と口にした。 髪を額に張り付け、頬を赤くして、外がどれ程暑かったかすぐに解る。 「正宗さん、餡蜜食べませんか?」 「餡蜜?」 「買って来たんです。 普通のと抹茶味とありますけど、どっちが良いですか?」 ひんやりとした紙袋を渡すと長岡は中を覗いた。 その間に三条は手洗いうがいを済ます。 水は若干温いが、汗が流されて気分は良い。 ついでに顔も流した。 「この近くに美味しい甘味屋があるって思い出して、寄り道して来たんです。 アイスキャンディとか葛きりとかもありました。 どれも美味しそうで迷っちゃいました」 「美味そ。 これは迷うな。 遥登はどっちが食いてぇ?」 「俺も迷ったんです。 だから、別の味にしました」 「ははっ、じゃあ半分こすっか。 遥登、ありがとな」

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