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第178話

スマホのアラームが鳴る前に手を伸ばす。 何時もならギリギリまでふとんに籠っているが、今日それを解除をする理由は腕の中で眠る恋人だ。 生憎誕生日当日、26日は始業式で仕事。 1日中一緒に過ごせない。 筈だった。 それなのに三条は泊まると言い、夕飯も一緒に食おうと言ってくれた。 自分がそういたいと、会える学生が羨ましいと。 腕枕で眠る優しい子に、長岡も穏やかな顔になる。 朝の日の光がさらさらの三条の髪を透かす。 キラキラと真っ白な肌の色を更に飛ばし、撫でると何時もより少しぬるかった。 そりゃそうだ、寝てるんだからな。 もう2度とこの子の寝顔を見られる事はないと思っていた。 だけど、今あの時よりずっと無防備な顔をして腕の中にいる。 寝顔はまだまだ子供だな 起こさない様に額にキスをした。 それから頬。 口は起きてからして貰おう。 昨日無理をさせた分寝ていて欲しい。 頭と枕の間からそっと腕を引き抜いた。

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