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第185話
玄関から鍵が開く音がする。
帰ってきた…っ
三条はコンロの火を止め、廊下へ出た。
「ただいま。
遥登」
「おかえりなさい。
正宗さん」
夕焼けを背負って帰ってきた恋人は髪がキラキラ透けてそれはそれは綺麗だ。
後ろ手にドアを閉めながらそれに負けない笑顔で出迎える三条に長岡は手を伸ばした。
子供体温だ。
清潔なにおいもする。
「遥登のにおいがする」
「俺ですから」
「あと美味そうなにおいもする」
「そういう時間ですから」
さっきより安心しきった笑みで長岡の言葉にふわふわと返事をする。
教師の仮面を外した長岡も柔軟な笑みをたたえながら、飽きる事なく抱き締めた。
恋しい相手が漸く揃った部屋は夕餉のいいにおいで充ちている。
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