191 / 1502

第191話

「なんで兄ちゃんはまだ夏休みなんだよっ!」 「さぁ?」 玄関で優登は兄と別れたくないと必死に食い付く。 兄は何時ものようににこにことそれをあしらっていた。 狡い、羨ましい、と言いつつもちゃんと登校する。 何時もの持ち物に加え課題も入った、学校指定の鞄は重そうだ。 「気を付けて行ってこい」 綾登を抱きながら頭をぽんと撫でた。 兄弟の中で自分ばかりが学校。 寂しいというか疎外感を感じるよな。 気持ちは分かる。 「帰ってきたらゲームしような」 「…うん。 いってきます」 とぼとぼと歩く後ろ姿にもう1度声をかける。 「優登、アイス食いながらしような」 「うん。 いってきます」 ひらひらと手を振ると、今度はしっかりと頷いた。 「行ってらっしゃい。 気を付けてな」

ともだちにシェアしよう!