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第190話
リクライニングを倒し、三条の上に乗り上げる。
あまり変な事は出来ないが、少しだけ。
「っ…」
「な、まだ誕生日だしキスしても良いか?」
三条は肩に触れると唇にそれを押し当てた。
やわらかい肉の感触と清潔な良いにおい。
きちんと唇に触れられたやわらかい唇に長岡はやわらかく微笑む。
穏やかな笑みは学校では絶対に見られない、恋人だけの特権。
「遥登からしてくれんのかよ。
最高」
「誕生日ですから…」
恥ずかしそうな顔で言われ、ぐっときた。
恥ずかしいのに誕生日だから自ら口にしてくれる。
誕生日様々の今日ばかりは両親に感謝だ。
「乳首痛くなった言えよ。
舐めてやる」
「……オロナイン塗ります」
「乳首とオロナインで検索してみ」
なんで?と小首を傾げながらポケットから取り出したスマホの検索バーに2つの単語を打ち込むと、“開発”と出てきて慌てて閉じた。
そんな三条を見ながらくつくつと笑う。
「やっぱり、大丈夫です…っ」
「信じんのか?」
「…ネット情報だから分かりませんけど、シャツから浮いたら…」
「えっろいな」
「そういう問題じゃ…」
生活に支障が出るのは確かにまずい。
そんな姿で大学に通わせるのも心配だ。
「消毒液買ってやるから」
「…じゃあ、近々またお邪魔します」
ふはっと相好を崩した長岡は、待ってると自分からキスをした。
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