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第193話

「長岡先生、質問しても良いですか?」 1時間目終わりに淹れたコーヒーに口を付けられたのは昼休み。 その昼休みにも生徒は質問にやって来た。 「大丈夫ですよ。 どこですか」 教師は教える事が仕事だ。 了承すると漸く女子生徒は入室した。 此処は…とノートに視線を落とす長岡は綺麗だ。 それは同室の職員達も思っている。 男性に対して綺麗という感想を持つのは正しいか分からない。 でも、長岡を一言で形容するなら綺麗、だ。 背丈のお陰ですらりとした印象が強く、甘過ぎず爽やかな顔立ち。 まさに眉目秀麗。 髪色も明る過ぎず暗過ぎず自分に合った色を理解している。 低く落ち着いた声。 そして、古典に対して真摯な内面。 そんなギャップも長岡を魅力的にみせる。 「なんとなく分かりました。 ありがとうございます」 なんとなくで大丈夫かよ…と思いながらもそれを飲み込んだのは、今が昼休みだからだ。 女子生徒も昼飯を食わなければならない。 あまり時間を割けないのだろう。 ありがとうございましたと準備室から出ていく生徒に頭を下げた。

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