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第235話

「三条、おは」 「おはよう。 田上、今年も焼けたな。 また野球?」 「そ。 レギュラーになったから練習に付き合ってくれって」 長かった夏休みも終わり後期がはじまった。 沢山の時間を長岡と過ごし、優登と綾登と過ごし、人生の夏休みと称されるその時間を終えた。 構内で会った田上は今年も焼けている。 これでも日焼けし過ぎない様に日焼け止めを塗っていたらしい。 今年の猛暑も厳しかった。 一時40度を越える気温に温度感覚が麻痺したが、漸く落ち着いた気温の中に秋の気配を見付けてきた。 稲刈りはほぼほぼ終わり等級がニュース番組で伝えられる。 そんな季節だ。 自習室へと向かう前に、田上と飲み物を買いに自販機へと歩みを進める。 「そういや、クライマックスシリーズ熱いな」 「うん。 やっぱり有終の美で日本一の男として送り出したいよな」 「わかる。 でもどっちも強ぇから、どっちが勝っても良い試合になるし早く試合も観てぇ」 「わかる」 長岡贔屓の球団とどこが接戦を繰り広げるのか、そして日本一になるのか。 そんな話に花が咲く。

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