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第302話

キスをしながら身体に触れ合う。 三条も控え目だがキスに応じて舌を動かしたり吸ったり、襟足を撫でたりと不器用ながらも愛撫を返す。 「辿々しくて興奮する」 「…変態みたいですよ」 「そんだけ恋人が可愛いんだよ」 恋は盲目。 じゃあ、愛はなんだ。 嫌な所も良い所もひっくるめて愛してる。 だけど、それだけじゃない。 守りたい筈なのに自分が傷付けたいなんて矛盾した事を考えたり、真っ直ぐな姿に導かれたりもする。 沢山の事が見えて、同時に沢山の事が見えなくなり、それすらも受け入れてしまう。 毎日、初恋をしているみたいだ。 それが、愛なんだろうか。 「遥登、今は俺の事だけ考えろ。 他の事考えてたら優しく出来ねぇぞ」 「正宗さんだけですよ」 「満点の答えだな」 恋人同士の甘い空気に当てられ三条はぽわぽわとしはじめた。 何時もやわらかい空気を纏っているが、キスに酔っている時は殊更やわらかい。 長岡が親指で唇を撫でると、三条はその指を食んだ。 色っぽく蠱惑的な表情に長岡もいやらしく目を細めた。 「俺の指は美味いか」 「ん…」 男の色気にクラクラしそうだ。 なんでこんなえろい顔が……う、わ 口の中を嬲っていた指を舐めていた舌を長岡は舐めた。 ぶわっと身体中の血液がアツくなり全身を真っ赤にする。 「な、に…」 「そんな照れんなよ。 これからもっとやらしい事すんだろ」 三条はひとつ頷いた。

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