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第301話

長岡のにおいしかしない。 当たり前だ。 部屋もベッドも長岡のなんだから。 でも、意識すると鼓動が早くなる。 ベッドに座る様に促されたがなんとなく恥ずかしくなって立ちぼうけていると、先に腰掛けた長岡に腰を抱かれた。 自然な振る舞いにドキッと心臓が高鳴る。 「俺の脚跨げるか?」 「はい、」 三条の体重を支えベッドが軋んだ。 そんな事さえいやらしくて緊張してしまう。 やばい、すげぇドキドキする… バレたら恥ずかしい 「焦んなよ。 まだ時間も早ぇだろ」 「んっ」 薄い腹を撫でる冷たい手に肩が跳ねた。 そうは言うが、これからセックスをするんだ。 恥ずかしくない訳がないし、緊張しない訳がない。 だけど、期待もしている。 目を泳がせていると、ブランケットを肩から落とされ男の顔がしっかりと自分をとらえた。 「寒くねぇか」 「はい。 大丈夫です」 「寒かったらすぐ言え。 ふとんにくるまってしような」 首に腕を回す様に促されぐっと顔が近くなった。 綺麗に整った顔も、茶けた髪も、長岡のにおいもすぐそこにある。 自分しか知らない長岡だ。 チュ 思わず口端にキスをした。 「なんだよ。 キスしてくれんのか」 「俺だってするって言ってるじゃないですか…」 嬉しそうな長岡は、成長期はこぇえなと眉を下げて笑う。 そしてちゅっとリップ音がした。

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