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第300話
飯も風呂も済んだ。
長岡は何時もの様に髪を乾かしてくれた。
サラサラになった髪に手櫛を通し、撫でる様に梳く手が気持ち良い。
そのまま、するりと手が前へと伸びてきて抱き締められる。
長岡は本当に甘やかすのが好きだ。
「すげぇ良いにおい」
「同じボディソープ使ってますよ」
「遥登のにおいと混ざるとやべぇんだよ」
このにおいを纏った長岡もすごくグッとくる。
オフ感があるというか、特別な感じがするというか。
振り返り顔を見ると小首を傾がれた。
一々様になっていて格好良い。
なんでもないと首を振ると頭を撫でていた冷たくて大きな手が頬へとおりてきた。
瞬間、キスされると解った三条はきゅっと目を瞑りキスをうける。
「ん…」
ラグの上に押し倒されながらも唇を重ねた。
離れるのが勿体無いとばかりに、触れるだけの軽いものを何度も繰り返す。
「…する、んですか」
「ん?
遥登がしたくなきゃしねぇよ。
でも、キスはする」
何処からか入り込んできたひんやりとした空気が頬を撫でた。
思わず身震いすると長岡はソファの上からブランケットを引っ張った。
それでくるまれた三条は既に色気を放っている。
「ここ、明るいから…」
「暗いところ行きてぇのか?」
「…隣」
「行こうか。
優しく出来る内にしとかねぇと優しく出来る自信がねぇ」
暖房をつけたまま隣へと向かった。
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