346 / 1502

第346話

ベッドに沈むと恋人のにおいが細い身体を包む。 一緒に乗り上げた長岡はサイドチェストに手を伸ばしシェードランプを灯した。 蛍光灯の光より弱い筈の光束だが、それでもベッドの上を照らすには十分。 「恥ずかし…」 「恥ずかしいのは?」 「正宗さんと、だけ」 「そう。 俺とだけ」 弧を描く唇が楽しそうな声を出した。 長岡は恥ずかしくないのだろうか。 あれだけ良い身体ならそんな事もない? そっと手を伸ばし胸に触れると自分のそれと同じ様にドッドッと心臓が騒いでいる。 「どうした」 「正宗さんは、恥ずかしくないのかなって…」 「それより遥登に触れて嬉しい」 冷たくて大きな手が更に押し付けより心音が伝わってくる。 自分と同じ位早い。 「な」 「俺も…あの、触られて嬉しいです」 「かわい」 優しい目に自分が映っている。 至極しあわせそうな顔をした自分だ。

ともだちにシェアしよう!