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第423話
背中にぶつかるあたたかな物体。
一体今までどこにいたんだ。
「蓬、ただいま」
にゃーっと媚びた声に口角が緩んでしまう。
こっちも変わりなさそうだ。
なーなーと脚に頭を擦り付けてくる蓬は今日も可愛い。
自分のにおいを付けなくともお目当ての物はやる。
あぁ、でもあの子とはまた違った求愛の仕方も可愛いな。
脇に置いたビニール袋からお目当ての物を取り出すと、柏も伸びをして動き始めた。
まだ、何も言っていないのに。
遥登みてぇ
好物を目の前にしキラキラと目を輝かせる恋人の様に、柏も蓬も嬉しそうな顔をして足元にやってきた。
さらに蓬は膝の上に乗り早く頂戴と催促までしてくる。
あの子もこうして直接甘えてくれればもっともっとでろでろに甘やかせるのに。
「きゅーるな。
沢山食べるとデブるから気を付けろよ」
封を切る瞬間も待てないと背伸びする蓬を制しながら、袋を2つ取り出す。
端切れのゴミをビニールに隠しながら用意出来た物を両手で差し出した。
「柏も食え。
好きだろ」
ペロッと舐めたと思えば、横から蓬が舌を伸ばす。
いつも並んで食べている2匹だが、きゅーるに感じては蓬の熱が違う。
そんなに美味いのかと思う位食い付きが良い。
どこかうっとりとしながら食べるもんだから何かいけない物でも入っているのではないかとさえ思ってしまう程だ。
食べても身に付かない三条とは違い、食べた分だけ丸くなる蓬。
それはそれでとても可愛いのだが肥りすぎると身体に良くない。
後でしこたま遊んで身体を動かしてやらないと。
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