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第484話
前戯というにはやわらか過ぎる。
ペッティングや愛撫、この溶けそうな行為は疑似セックスとでも言えば良いのか。
全身をくまなく触られキスマークを付けられしあわせが身を包む。
「ぅ…ぐ……」
キスマークの上から歯を突き立てられ服で隠れる箇所はあの日の教室と同じ色で塗れていく。
それが嬉しい。
「遥登」
セックスの最中、長岡の纏う空気がふと緩む時がある。
微かに笑った気配があって表情もすごくやわらかくて、愛おしい気持ちになる。
他の人とのセックスは知らないが
鎖骨ギリギリにキスマークを付けている長岡の頭に三条は唇を押し付けた。
長岡のにおいに汗のにおいが混じっている。
セックスの時のにおいに興奮してしまう。
「正宗さん…」
「ん」
唇に触れるやわらかな感覚に長岡に触れた。
今は自分だけの長岡だ。
流れ込んでくる唾液を飲み込みながらキスにこたえ舌を動かす。
辿々しくとも長岡をその気にさせるには充分。
「ん……は…ハァ、んん」
息継ぎにほんの少し口を離してはまた貪る。
撫でるように触れるあたたかな手に長岡も止まらない。
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