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第756話

宣言が出されて1ヶ月。 漸くそれは解除された。 三条は、もう2ヶ月以上も長岡に会えていない。 夏休みだって1ヶ月程。 それだって夏期講習や進学者対象の補講やらで、まだ会えていた。 それが今はさっぱり。 いくらビデオ通話で顔を見ていると言っても寂しさは隠し切れない。 贅沢に慣れると元の生活に戻るの大変ってのは知ってたけど、こうもクるもんなのか 家にいるのも楽しいけど正宗さんと一緒に居たいな いつか口にした和歌が思い出される。 微かにでも見る事が出来ればどんなに良いか。 我が儘になってしまった。 いけないと思っていたのに、なっていた。 溜め息を飲込みベッドに倒れ込むと長岡に似たにおいが身を包んでくれる。 正宗さん、何してるかな ちゃんと食事してるかな 本ばっかり読んでそう 一人暮らしは自分が食事の用意をしなければいけない。 それをきちんとしているのか心配になってしまうのは、その人が本の虫だからだ。 続きが気になり食事を抜いてしまうなんて、よくある話。 それに、学校の先生達は忙しそうだ。 休校だった分の授業内容をどうするか、感染リスクを減らす為にもクラスを分けたり、休校でも繁華街を出歩く生徒をなんとかしろと電話がかかってきては指導に赴く。 そんな事をする為に教師になった訳ではないのに。 “仕事”があり“安定した給料”を貰える公務員への怒りも含まれているのだろうとぼんやりと思った。 それを知っていて自分達はその道を自ら選ばなかったのに狡い。 長岡は努力してその道を選んだんだ。 人の感情は伝達する。 負も正も。 心が磨り減ってなければ良いけど …夜、連絡してみようかな

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