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第757話

買い物を済ませスーパーから出た所で、手を繋ぐカップルと出会した。 女は男の腕に身体を押し付け2人だけの空気。 長岡に気付くも避ける事すらしない。 そこまで子供じゃない。 仕方なしに半身で避ける。 そのままくっつき入室していく2人と擦れ違際、手に持ったビニール袋がガサリと音をたてた。 小さなパックの牛乳と冷凍うどん、醤油がやけに重く感じてしまうのは、それらを1人で消費しないといけないとあてられたからだろうか。 多くの人達が我慢している時に…と思うと同時に、こんな時でも他人を気にせず我を通せる根性が羨ましい。 『正宗さん、美味しいです!』 『んまっ。 たまごとろとろです』 あの子と飯を食いたい。 だけど、そんな我が儘は飲み込まなくては。 だってそうだろ。 あの子のあの笑顔と居たいから。 悲しい顔はもうさせたくない。 もう2度とあんな顔はさせない。 その為なら。 スーツのポケットからスマホを取り出すと、すいすいと画面をタップしメッセージを送った。 『飯食う時、付き合ってくれないか?』 リモートで飯に付き合って貰おう。 それ位の我が儘、許してくれ。 すぐに返ってきた返信は、 荒んだ心を癒してくれる。 『勿論です!』

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