1 / 22
出逢い(1)prologue
深い深い森の奥。
誰も訪れる事もないその場所に、美しいライトブルーに染まる花畑が広がっている。
「ああ……今年も綺麗に咲いたよ、アンジュ。君の好きなネモフィラが……」
アンバーはそう呟くと、青い花の絨毯に鼻先を埋めた。
暖かくて優しい陽射しが、アンバーの灰色の毛をキラキラと銀色に輝かせている。
可憐な花の香りがふわりと漂う。
それはまるで──
アンジュの匂い。
燃えるように溶け合うように求め合ったあの時と同じ香りが、甘く、懐かしく、アンバーの身体を包み込んでいく。
「もうすぐ逢える……」
目を閉じれば、愛しい人のその姿が浮かんでくる。
心地よい温度の陽射しと、甘い香りは、微睡みを誘う。
──アンジュ──〝天使〟
ともだちにシェアしよう!