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第17話

確かにヒュドゥカを受け入れるのは七音の体に負担があったようだ。だがベッドに横たわりつつも、七音は嬉しさを噛み殺しきれずに、にまにまと頬を弛めていた。 「七音さまはお体が弱いのに、ヒュドゥカさまは乱暴すぎですね」 「そんなことないよ。すっごく優しいし」 「優しくっても、加減を知らないのは困ります」 アルは信頼を寄せるヒュドゥカに対して、七音のために怒ってくれている。それがまた嬉しくて頬が緩むのを止めることができない。 「本当に悪かった」 後ろで小さくなって聞いているヒュドゥカが謝ると、アルはほんの少し怒気を弱める。 これからまだヒュドゥカと過ごすことに慣れないことは多いかもしれない。だけど、ヒュドゥカが愛していてくれる限り、七音はどんなことも乗り越えられると確信している。 「大丈夫ですから、仕事に行ってください」 「すまない、七音。愛している」 ヒュドゥカは七音の頭を撫でると、アルに睨まれながら部屋を出ていく。 「俺も、愛しています」 アルの前では恥ずかしくて口にできなかったが、七音は布団の中でこっそりとそう呟いた。 了

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