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「ほら、寝ない!」
鼻を摘まれて、ハッとした。
あれ?あれ俺どうしたっけ?
一瞬状況がわかんなくて、目がパチパチした。
「いつもなら寝かしてやるけど、今日はもうちょっとがんばろ?せっかく買ったんだし、ゼリー使わなきゃ。」
「ね…… 寝てない。」
一瞬寝てたらしい。反射的に否定してみたけど、ニヤニヤした本郷に「はいはい」ってあしらわれた。
「これ、挿れたまま体位変えよ。ゆっくり、起き上がって、そう。後ろ向き。」
本郷が背中を壁にもたれて座った。半勃ちのが俺に入ったままだから、一緒に少しずつ動いて、本郷の腰の上に、俺が座る感じで。
身体がしっくりしてから正面を見た俺は、ギョッとして目を逸らした。
「背中が壁だとさ、両手使えるからいいんだよな。それにこの位置、すげぇよく見えるから好き。」
本郷が前に買ったデカい鏡は、部屋にずっと置きっ放し。別にインテリアとして不自然な所にあるわけじゃないけど、今その正面に座ったのは絶対わざとだ。
裸で繋がってる俺たち。肌色に、黒い革紐が目立つ。「本郷のSubになった」証を着けた首筋に、俺のDomが嬉しそうに後ろからキスをした。
「生だと、抜かずに2回戦行けるからいいな。」
本郷はそう言って、半勃ちの腰を少し揺らした。もう体温になじんで感触はないけど、中にこいつの精液が入ってるんだって意識すると、射精 してない俺のがキュンとする。
パキン、と耳元で小さな音がした。
なんか、既視感 。本郷が蓋を開けたゼリー飲料を少し飲んだ。甘いヨーグルトの香りが鼻の奥をくすぐる。「俺も」って言ってもらったら、一口だけですぐに離された。
「あんま減らしたらダメ。今日はいっぱい入れるって言ったろ?」
指で蓋をした本郷が、パックを手で揉んでゼリーをほぐす。そうしながら、俺に入ったままのが、むくむくと大きくなった。
「ちょ、なんで、今デカくなんの?」
「は?お前こそなんでゼリー見てケツきゅんきゅんさせてんの?」
「してない!」
「してるよ。つうかこっちも、」
本郷の手が、俺のを掴んで先っぽを親指でぐりぐりした。
「こんな、挿れてほしそうにしてる。」
「あ、やぁ…… っ」
手はそのまま俺のをいじりながら、本郷が俺の耳に熱い息を吹きかけた。ひだに沿って舐められて、尖った舌先が孔に入りながらそこを塞ぐ感覚に、背筋がぞわりとする。
ガサガサと独特な音をさせながら、耳につけたままの唇で、本郷がつぶやいた。
「な、ゼリー、自分で持って?」
渡されるままそれを受け取ると、本郷の空いた右手が俺の耳を塞いだ。
「あ…… ん…… 」
本郷の口唇と手のひらに、外の音が全部遮断されて。
頭に響くのは、耳を舐めるピチャピチャと、唾液に侵されるガサガサ。それに、低くて鈍い、触れ合った身体が擦れる音。鼓膜じゃなく骨から伝わる、中の音。
いっそ全部溶けて本郷 と一緒になっちゃいたいような、ずっと潜っていたいような、心地いい深海に溺れる。
「そのゼリー、自分で入れて。」
「ん…… 」
催眠術にかかるって、こんな感じ……?
それか俺、命令に従わされてんのかな…… ?
そう考える自分も奥の方にいるのに、言われたとおりにするのが、なんだかすごく気持ちいい。
自分のちんこを左手で支えて、前に本郷がしたみたいに、先っぽを拓く。くぱあって拓いたところに溜まってた液を指先でグチュグチュされて、腰がガクガク震えた。
「んぁぁぁ…… っ」
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