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あとがき
「クラッシュゼリー」をお読みいただき、ありがとうございました。
残念なイケメンと呼ばれ、オープンエロでも実はヘタレで、海老沢を溺愛するあまり常に自分の性癖に怯えていたDom本郷。
平凡受けながら無自覚に超敏感な優秀ボディを持ち、内面は包容力があり案外男前なSub海老沢。
お調子者の柳瀬、地味オタクな加古、柔道マッチョ秋山の友人3人組も、とても楽しく書かせていただきました。
(主役の2人以外の登場人物の苗字は、ある分野の大御所さまから拝借しました。)
クラッシュゼリーはまず、Twitterで「ウィダ二ー」という未知のプレイを教えていただいたことから生まれました。
「まあ!なんて変態な!ステキ!これをセルフじゃなく攻め→受けで書いてみたい!」
と思い、まずは投稿サイトでワード検索。
1件もヒットしない。つまり、誰も書いていない…… ?
これはウィダ二ーを主題に1本書くしかないと思いました。しかも、思い切ってエロに特化したものにしたいなと。
苦手なエロに正面から挑戦しようという気持ちでした。これだけ濡れ場の多い小説を書いておきながら…… ですが、本当に苦手なんです。読むのは大好きだけど書くのは難しいんです。
最終話のエロを書いている時、緊張しすぎて足がつったほどです(苦笑)
はじめは、1万字程度の短編にするつもりで書き始めました。ストーリーは薄く、エロ多めで。水分(潤い)と糖分(甘さ)を供給できるような、さらっと読めて萌えるお話を目指していました。
そして、海老沢がまさにゼリー飲料の飲み口を先端に咥え込んだとき、
「こんなアブノーマルなこと、すんなり受け入れるの、おかしいだろ…… 」
創作脳が私にささやきました。
いやだ怖いと思いながらも、断れなくて…… という流れでしたが、海老沢のキャラはそんなに気弱ではないし。いくらエロ特化とはいえ、ご都合主義にはしたくない……
止まった筆を動かしたのが、知ったばかりのDom/subユニバースという世界でした。
この2人の関係はドムサブならうまくハマるのでは、と突然閃いたのです。
まだオメガバースのような知名度がなく、マイナーなこの特殊設定は、ほぼ二次創作にしか作品がありませんでした。
「クラッシュゼリー」の下書きを始めた時、私はWebで「Dom/sub説明書」を読んだだけの状態でした。
その浅い知識で、私なりの解釈でDom/subを書いてみようと思いました。
商業誌のような1話1エロで、Dom/subユニバースの世界を無理なく紹介しながら、気楽に読める中編を目指して。
絵師のにゃっき様によるエッチでステキなお表紙のおかげもあり、少しずつ読者さまが増え、多くの方に読んでいただけるようになりました。
連載中にリアクションで応援いただき、本当にありがとうございました。
Dom/subがじわじわと親愛なる腐女子さまたちに認知され、新たなジャンルとして定着する日を夢見て、時に自転車操業に陥り、時に筋肉痛になりながら、10ヶ月で「クラッシュゼリー」を書き上げました。
最後の水鉄砲の落書きは、本郷が勝手に動き出したものです。まさかそれが海老沢のアレになるなんて!書き手の私も想定していなかったキャラからのギフトでした。
【了】を打ち込んだ時は、感無量で震えました。
週2回の更新を切らさず完結まで書ききれたことに、本当にホッとしました。
自分の文章を読んでいただけることがこんなに嬉しいなんて、投稿を始めた1年前まで、私自身知りませんでした。
読者さま一人一人が私の宝です。
願わくば、また他の作品でお会いできますように。
これからもステキな読書ライフをお過ごしください。
2019年11月末 さほり拝
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