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第1話
私が13の年、私の家は没落した。
父が指揮していた国家軍の三分の一が、死んだのだ。
あれは仕方の無いことだった。
父のせいではない。
流行病が軍を襲い、そこを狙われた。
だが、そんな言い訳が通るわけもない。
誰かは、責任を取らなければならない。
父は、自ら処刑されることを申し出た。
「ミーシェ!なに、ぼーっとしてるの。これ木刀だけど、圧し切るからね」
「私だって考え事をする時ぐらいある。それに、例え考え事をしていてもラウールには負けないけど」
言葉を言い終えるや否や降ってきた木刀を軽く受け流す。
案の定、よろけてコケたラウールは、こちらを恨めしそうに睨んできた。
「……剣術は辞め。お茶でも飲もうか。特別に、私がいれてあげる。感謝しなよ?」
「ミルクで。砂糖はいらないから」
「ふふ、どうぞ」
「やっぱりな。レモンで出すと思った。いつも私がレモンを飲んでるの知ってるだろう?」
「子供っぽいことしないでよ!」
「どっちが」
父と仲が良かった王の厚意で、私は王子であるラウールの遊び相手として皇宮に引き取られた。
元々よく会っていたのもあって、それなりに楽しい日々を送れている。
だが、このまま甘える訳には行かない。
私は仕事を探し始めた。
そんな時紹介されたのが、オーヴァルニ家の三男の子守りだった。
住み込みで待遇もいい。
向こうからしても、没落した家の息子というのはちょうど良かったのだろう。
子煩悩なオーヴァルニ家に愛されない子供が居ることを、知られる訳には行かないから。
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