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第2話
オーヴァルニ家の三男、レナ様の世話をし、ある程度の教養をつける。
それが、大まかな契約内容だ。
私自身が騎士の家に生まれそれなりに教養を付けてもらったこともあり、簡単だろうとたかを括っていた。
しかし、そう甘くはなかった。
屋敷に住み込みで、二人きりの生活。
本来なら、料理人、メイド、庭師、乳母を執事が束ね、ようやく手が回るのだ。
まだ幼いレナ様をあやしながら、家事を全て完璧にこなすのは至難の業だった。
それに、私は赤子の世話なんてした事も無い。
少ない時間の中、本を読み漁り、必死に世話をしていった。
初めてレナ様が「みしぇる」と言った時には、感動して泣きそうになった。
そんなレナ様ももう5歳。
そろそろ家庭教師をつける時期だ。
私と旦那様が厳選して決めた甲斐あってか、レナ様は順調に勉学を進めて行った。
二人きりにしても安心できるようになった頃、ふとラウールのことを思い出す。
無邪気に見えて、人一倍劣等感が強い奴だ。
私がいなくても大丈夫ならそれでいい。
ただ、一度様子を見に行こうと思った。
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