3 / 16

第3話

ずっと一緒にいると思っていたミーシェが、仕事をすると言って、出ていくことになった。 彼には、あしらわれてばかりだったけれど、過ごした時間は心地よかった。 皇族に生まれながら、私には獣人の特徴である耳も尻尾もない。 それに加えて、私はΩだ。 皇位は、立派な獣人でαの弟が継承するだろう。 つまり、私は劣等生。 そんな私に気を使うことも無く接してくれたミーシェを失ったことは、思ってた以上に私にダメージを与えた。 執事も、メイドも。 みんなみんな憐れむような馬鹿にするような目を向けてくる。 弟の周りには笑顔が溢れるけれど、私の周りにあるのは重たい空気だけだった。 ミーシェはまだ小さな小さな子供の子守りをしている。 手紙がとどいたのは、離れてすぐの1回だけ。 暇なんて、あるわけがなかった。 皇宮に居たくなくて、ふらふらと城下町で遊ぶ日々。 そんな時、声をかけられた。 金をやるから抱かれないか、と。 皇宮に居る時と服装は変えていたから、金がない子供とでも思われたのだろう。 私はそれに頷き、初めての経験をした。 それから5年が経った頃、私は立派なセックス依存症に成り果てていた。 適当な男を捕まえて、セックスをして、金を貰う。 腰まで伸ばした銀の髪に、綺麗に整った顔。 男にとっては、極上だろう。 セックスをしている間は何も考えなくていい。 ただ快感に身を任せるだけ。 そんな時、5年ぶりに文が届いた。

ともだちにシェアしよう!