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第3話
ずっと一緒にいると思っていたミーシェが、仕事をすると言って、出ていくことになった。
彼には、あしらわれてばかりだったけれど、過ごした時間は心地よかった。
皇族に生まれながら、私には獣人の特徴である耳も尻尾もない。
それに加えて、私はΩだ。
皇位は、立派な獣人でαの弟が継承するだろう。
つまり、私は劣等生。
そんな私に気を使うことも無く接してくれたミーシェを失ったことは、思ってた以上に私にダメージを与えた。
執事も、メイドも。
みんなみんな憐れむような馬鹿にするような目を向けてくる。
弟の周りには笑顔が溢れるけれど、私の周りにあるのは重たい空気だけだった。
ミーシェはまだ小さな小さな子供の子守りをしている。
手紙がとどいたのは、離れてすぐの1回だけ。
暇なんて、あるわけがなかった。
皇宮に居たくなくて、ふらふらと城下町で遊ぶ日々。
そんな時、声をかけられた。
金をやるから抱かれないか、と。
皇宮に居る時と服装は変えていたから、金がない子供とでも思われたのだろう。
私はそれに頷き、初めての経験をした。
それから5年が経った頃、私は立派なセックス依存症に成り果てていた。
適当な男を捕まえて、セックスをして、金を貰う。
腰まで伸ばした銀の髪に、綺麗に整った顔。
男にとっては、極上だろう。
セックスをしている間は何も考えなくていい。
ただ快感に身を任せるだけ。
そんな時、5年ぶりに文が届いた。
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