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第10話

酒場で聞いた情報は案外当てになる。 荷物を持ち、急いでニルスに向かった。 ラブホテルに近い路地裏は、三つ。 ここまでくれば仕方ない。 勘に頼ってひとつを選んで、ひたすら待つ。 ラウールは遂にやってきた。 思ったとおり、男を連れている。 まんざらでもない様子で、少し話すと直ぐにラブホテルに向かっていった。 ……久しぶりに見たラウールは、少し痩せて不器用な笑みを浮かべていた。 ラブホテルの前で、また待つこと数時間。 やっと出てきた男に声をかけに行く。 都合のいいことに、ラウールはまだホテル内で寝ているのだろう。 「すまない。少し話をしていいか?」 「?、なんだ」 「さっき、銀髪の男とそこに入っただろう。あいつの事が知りたい」 「はぁ?」 怪しい目を向けられる。 それも仕方ないだろうが。 「あいつと寝るのは何回目だ?」 「お前、Lilasの噂を知らないのか?他所から来たのか?」 「リラ?」 「……多分、偽名だな。数日おきに誰かに声をかけるんだ。そして、同じ男とは二度と寝ない」 特定の奴は、いないのか。 リラという偽名を使っていることを知れたのも、大きい。 「あー、口惜しいな。あいつのナカは極上だったぜ?もう二度と味わえねぇとはな。 お前もLilasとヤりてぇなら、覚悟するんだな。他のやつがただのオナホに思えてくるからよ」 男はニヤニヤと笑っている。 ラウールも趣味が悪いな。 適当に相槌をうち、少し重たい気持ちを背負って屋敷へと帰った。

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