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第9話
おかしい。
ラウールに手紙を出したのに、返事が返ってこないのだ。
あいつから、会いに来てって言ったくせに。
私からは皇族には会いに行けないのを、ちゃんと分かってんのか?
まぁ……皇族に何かあったならニュースになるだろうし、体調面での心配はいらないだろう。
となると、何か心境の変化があったか。
また、馬鹿なことでもぐるぐる考えているんだろう。
このまま放っておいて、あいつが更に酷い状態になるのは見過ごせない。
……くっそ、振り回しやがって。
とりあえずは、あいつがセックスをしている相手を知ろう。
そこから、あいつに何があったか分かるかもしれない。
まずは、どこでしているかだ。
皇宮に噂が入りやすい貴族とはやらないだろう。
そうなると、城下町か。
範囲が広いな……
皇宮から、近過ぎず遠過ぎずといった所だろうが……
限られた休みで、見星をつけた場所の酒場を1つずつ訪ねて回る。
もちろん、怪しまれないように服を変え言葉遣いも変えて。
「なぁ、銀の長髪で綺麗な顔した男、見かけないか?」
「あぁ?知らねぇな。なんだ、あんたの好みの話か?」
「…、そうだ」
「はっ、そんな奴いたら今頃何人もに輪姦されてるだろうよ」
「いや、お前。俺聞いた事あるぜ」
「本当か?」
「銀貨3枚だ」
急にこちらを向いて話しかけてきた男に渋々請求された金を渡す。
「よし。そんな奴がここの隣のニルスって街の路地裏に引っ張りこんで、アレの誘いをかけるんだってよ」
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