12 / 16
第12話
「ねぇ……今夜だけ、私と過ごさない?」
「は?」
訝しげな顔をする男の前で、顔の半分まで隠していたフードをぱっととる。
その瞬間、男の目はガラッと変わった。
「ね、どう?」
「あ、ああ」
「ただし、条件がある。あなたとするのは今夜だけ。それと、私はあなたを思って抱かれることはない」
「っ、もしかして……Lilasか…?」
「ふふ。その名前って、誰がつけたんだろうね?」
顔に笑みを浮かべると、男は急いたように私の腰に手を回してホテルへと連れていった。
部屋に着いた途端、ベッドに押し倒される。
シャワーは浴びてきたから、別にいいんだけど。
「Lilas……!」
キスまで性急だ。
むしゃぶりつくようなそれに、思考を止める。
「んっ、」
肌の上を蠢く手が、気持ちよくて気持ち悪い。
「ミーシェっ、ぁん、、んっ」
会ったばかり男の肉棒を咥えこんだまま、私の頭の中にはミーシェしかいない。
今の私を見られたら、ミーシェはどう思うんだろう。
軽蔑する?やめろって言ってくれる?
それとも、もう見放される?
「っ、離さないで……もっと、、きつく」
身体が折れるんじゃないかと思うほど抱きしめられる。
あぁ、もう死んだっていいかも。
ともだちにシェアしよう!