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第12話

「ねぇ……今夜だけ、私と過ごさない?」 「は?」 訝しげな顔をする男の前で、顔の半分まで隠していたフードをぱっととる。 その瞬間、男の目はガラッと変わった。 「ね、どう?」 「あ、ああ」 「ただし、条件がある。あなたとするのは今夜だけ。それと、私はあなたを思って抱かれることはない」 「っ、もしかして……Lilasか…?」 「ふふ。その名前って、誰がつけたんだろうね?」 顔に笑みを浮かべると、男は急いたように私の腰に手を回してホテルへと連れていった。 部屋に着いた途端、ベッドに押し倒される。 シャワーは浴びてきたから、別にいいんだけど。 「Lilas……!」 キスまで性急だ。 むしゃぶりつくようなそれに、思考を止める。 「んっ、」 肌の上を蠢く手が、気持ちよくて気持ち悪い。 「ミーシェっ、ぁん、、んっ」 会ったばかり男の肉棒を咥えこんだまま、私の頭の中にはミーシェしかいない。 今の私を見られたら、ミーシェはどう思うんだろう。 軽蔑する?やめろって言ってくれる? それとも、もう見放される? 「っ、離さないで……もっと、、きつく」 身体が折れるんじゃないかと思うほど抱きしめられる。 あぁ、もう死んだっていいかも。

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