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第13話
目が覚めると私はいつも通り一人、ラブホテルのベッドで寝ていた。
この固いベッドにも、もう充分慣れた。
枕元には、数枚の札。
これが俺の身体の価値だ。
男娼としては高いけれど、人間としてはどうなのだろう。
人間として、とか。
私みたいな淫売に価値なんてないか。
さっと支度して、すぐにホテルをでた。
深くフードを被って、隅を歩く。
そうして、誰にも知られることなく皇宮に帰るはずだったのに。
後ろから、急に捕えられる。
とっさに抜け出そうと、肘で相手のみぞおちあたりを突いた。
体術には自信があったのに、難なく躱されてしまう。
「なんの……用?」
1度した男か…?
これまでも、何人かに襲われかけたことはある。
その度に撃退したけど。
だが……、今回の相手は強そうだ。
私に勝てるのはミーシェくらいだと思ってたのに。
足を振りかぶって、蹴ってみる。
だめだ。
全然攻撃が通じない。
相手は暴れる私を鬱陶しく思ったのか、羽交い締めをやめて、横抱きにしてきた。
それも、うつ伏せに。
これじゃ、下手に攻撃できないし、相手の顔を見ることも出来ない。
諦めて、手足の力を抜いたり 。
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