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第14話

「ねぇ、ほんとになんなの?私に何したいわけ?どこに向かってるの?」 再度訊ねても、何も返事はかえってこない。 相手にする男は、ヤり慣れてそうなのを選ぶようにしてたのに。 こういう執着が嫌だから、2回目からはしないようにしてたのに。 いや、そもそもヤった男じゃない可能性もあるか。 …それなら、何が目的だ? 私が王子だと分かった上で、身代金を要求する? 綺麗な私の顔につられた? ただ、誰かを殴りたいだけ? まぁ、たとえ殺されたって、私は要らない方の王子だからいいか。 じっとしていると、ガチャっとドアの開く音が聞こえた。 どこの家か暗くて全然分からない。 そのまま男は部屋の中を進み、私をベッドの上に置いた。 優しく、丁寧にだ。 私は素早く身体をよじり、男の顔を見た。 「…………ミーシェ…?」 「怖かったか?ラウール」 「な、なんで、こんなこと……」 ミーシェは、なんだか悲しそうな顔をして私の頭を撫でた。 「お前が私の手紙を無視し続けたからだ。普通に会っても逃げただろ?」 そりゃ、逃げるでしょ…… どんな顔をして会えばいいか分からなかったから。 足の速さだけはミーシェに勝ってるし。

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