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高慢なマゾヒストSS(おととななな・著)

SMクラブ『FoliDouceーフォリデュースー』のオーナー、神谷瑞希(かみやみずき)はマゾヒストだ。 しかし、それを知る者はMr.Jこと新城一昂(しんじょういちたか)ただ一人である。 新城はクラブ一のサディスト、調教師だ。 彼の調教師としての手管は一流で、同じサディスト達からの支持やマゾからの調教の熱望は絶えない。 SMにおけるサディストのSはサービスのS、察するのSともいわれている。 一般的に自分はサドだと言いふらしている奴は大体エゴだ。 人を縛り痛めつけて喜ぶだけでは真のサディストとは言えない。 マゾの性質を見極め、感じ取り、絶妙なタイミングと匙加減で行われる調教こそマゾを喜ばせる真のサディズムと言えるのだ。 その点、新城の調教は完璧だ。 それはただ単に性技が上手いというだけではない。 声であったり、視線であったり、ちょっとした仕草やそれを使うタイミングが絶妙なのだ。 実際、瑞希も男の調教にすっかり躾けられてしまっている。 初めこそ頑なだった身体も今や男の言いなりだ。 しかし、瑞希は固く誓っていた。 身体は明け渡しても、心までは決して明け渡したりしないと。 新城が瑞希を抱くのは、退屈凌ぎだ。 ただの一時的な気まぐれであって、瑞希を弄んでその反応を楽しんでいるだけ。 次の玩具を見つけたら、きっとすぐに離れていくに決まっている。 だから瑞希はせめて心だけは死守するのだ。 男の言葉に反応しないように。 眼差しに惑わされないように。 心まで支配されてしまわないように。 「も、もういいだろ、さっさと退け」 オーナー室のデスクの上で、淫らに蕩かされていた瑞希はいつまでもそこから出て行こうとしない男の胸を押しやった。 「いいんですか?今抜いたら絨毯が大変な事になりそうですが」 飄々と言ってのける男に、カッと顔が熱くなる。 「お前が…っ、中に、何度も出すから…だろ」 悪態を吐きながら整った男の顔をキッと睨みつける。 服は乱れ汗と涙と体液でドロドロになった瑞希とは違い、男は汗どころかネクタイさえもきっちりと締めたままの姿だ。 涼しげなその表情にむしゃくしゃした瑞希は、乱れのない男の胸ぐらを掴むと力いっぱい握りしめた。 「いいからさっさと抜け、変態」 マゾヒストの反抗的な態度。 プレイ上では厳しく躾け直されるところだ。 しかし新城は怒るどころか、眩しいほどの笑みを返してきた。 ドキッと心臓が高鳴り、瑞希は思わず口を噤むと視線をそらす。 苛々する。 どうしてこんな男の笑顔なんかに自分が振り回されなければならないのか。 「このままシャワールームに運びましょう」 新城はそう言うと、結合部をそのままに瑞希の身体をデスクから抱えあげた。 「は!?やめ…っ、やめろ!!」 慌てて逃れようとするが、男のものが深々と突き刺さったままではどうする事もできない。 「暴れると落ちますよ。あぁ、もう力が入らないか」 男はうっそりと笑うと、瑞希の手を取り自分の肩に乗せた。 結合部が深くなり、男のまだ萎えない屹立が腹を抉らんばかりに突き上げてくる。 「あ…っ、あ、やだぁ…あ」 瑞希は情けない声を出すと男の逞しい首筋に縋りついた。 「いい子です、そのままで」 男はそう言うと、あろうことかそのまま歩き始めた。 新城の歩く動きに合わせて腰が揺れる。 自ずとピストンの動きになり、瑞希は羞恥と刺激に犯されて新城の肩口に顔を埋めた。 情けない、恥ずかしい。 中に出された精がグジュグジュと淫らな音を立てながら空気と混ざり、瑞希を羞恥を更に煽ってくる。 シャワールームに着くと、ようやく足がタイルの上に下ろされた。 しかし片足のみしか解放せず、もう片方の足は大きく開かされ担がれたままだ。 「いい加減にしろっ!」 あまりの羞恥から必死に逃れようと身を捩ると、新城が悪戯に腰を揺らしてきた。 繋ぎ目の隙間から泡立った精がグジュと音を立てて溢れ出す。 「撹拌されて泡立ってる。いやらしい眺めだ」 繋がった場所をまじまじと見られながら、滲み出てきた精を指で掬われる。 その指先は、散々弄られて真っ赤に熟れた瑞希の乳首を白く汚していった。 「お前、本当に…いつか殺してやる」 なけなしの力を振り絞り精一杯の恨みを込めて睨みつける。 すると、男の目が一瞬見開かれ、すぐにフッと和らいだ。 「いいですね。あなたに殺されるなら本望だ」 満足げな笑みを浮かべる男の昂りが、柔らかく綻んだ後孔からズルズルと引き抜かれはじめる。 瑞希は必死に声を押し殺すように唇を噛み締めた。 押し留められていた精がゴボッ、ゴプッと酷い音を鳴らしながら溢れてくる。 それは瑞希の太腿を伝い、タイルにポタポタと落ちていった。 「あぁ、せっかく中をいっぱいにしてあげたのにこんなに漏らして…いけない人だ」 新城の指先が瑞希の顎を捕え上向かせる。 強制的に合わされた視線の先にあったのはサディストの顔だった。 奪われる、また。 そう思った瞬間、ギリギリまで引き抜かれた男根が一気に押し戻されて最奥を突き上げてきた。 まだ熱を孕んでじゅくじゅくとしていたそこは、再び快楽の摩擦を与えられて喜びにうち震える。 もう声を我慢する事なんてできなかった。 「やめ…っんん…も、やめっ…あああぁ」 先ほどまで散々抜き挿しされていた瑞希の媚肉が、男の肉棒に絡みつく。 中で感じるハッキリとした男の欲望の形、太さ、熱。 いつのまにか、男のものをしっかりと覚えこまされている事に気づく。 意識をすると余計に感じてしまい、瑞希は瞬く間に絶頂に押し上げられていった。 「あ…っあぁ…だめ…だめだ、いく…イくぅっ」 情けないと思いながらも、瑞希は新城に縋りつくと必死に訴えた。 しかし、あと一歩というところで腰の動きが止まってしまう。 感じやすい瑞希にとって目の前にある快楽を奪われるのは拷問と一緒だ。 たまらず自ら腰を揺らそうとする瑞希の動きを封じて、新城が優しく命じてきた。 「もっとキツく締めなさい。…首を絞めるように、強く」 男の命令に応えるように後孔が引き締まり、括約筋が痙攣を起こす。 「もっと、強く」 ガツガツと腰を打ちつけられながら命じられて、瑞希は泣き喚きながら男を締め上げた。 大きな快感が瑞希を飲み込もうと襲いかかる。 鋭い眼差しと男の身体から漂う強い者の匂いにクラクラと目眩さえした。 こうしてまた一つ深い部分に潜り込んできて、瑞希の何かを変えていく。 じわじわと確実に。 「ほら、わかりますか?あなたの中にまた染み込んでいく」 男の低い声が耳朶を嬲る。 絶頂を迎え、震える身体の内側に男の欲望が叩きつけられていた。 じわりと媚肉が濡らされる感触に、何ともいえない気持ちになる。 しかし、精を吐き出してもなお男の昂りは治る気配はない。 凶器のような肉棒が再び激しく抽挿を開始し始めた。 「あ、あっ、しんじょ…死ぬ…もう死ぬっ」 過ぎる快楽は苦痛になる。 しかし、被虐欲のある瑞希にはそれさえもまた壮絶な快楽を生み出していくのだ。 その止まる事なく与え続けられる快楽に溺れ死にそうになる。 「死ぬ?まだあなたのここを奪っていないのに?」 スルリと胸を撫でながら、男が鋭い眼差しで瑞希を見つめた。 きっと新城にはお見通しなのだ。 瑞希(高慢なマゾヒスト)の心の内なんて。 「諦めませんよ瑞希。あなたの全てを手に入れるまで」 サディストはうっそりと笑うと、最後の砦を壊すように激しいピストンを開始する。 その荒々しい腰遣いとは裏腹に、驚くほど優しく甘いキスを落としてきたのだった。
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