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第19話

「酷い差別だ。僕に会った時はこんな風に髪も揃えられてなかったのにな……」  詠月は皐月の短く切られたばかりの前髪を撫で上げ、露わになった額に口付ける。  それが歯痒かったのか皐月はむずかって、顔を引き寄せ噛み付くように詠月に口付ける。勢いが良すぎたせいで前歯がカチリとあたり思わず詠月は吹き出した。 「ロマンチストなんだからもう少し、ねぇ? まぁ、いいけどさ」  詠月のそんな苦笑いなど完全に無視して、欲情の熱に浮かされた皐月は何度もせがむ。 「詠月さん……はやく、早く……触って、早く……」 「電話ではあんな拗ねてたのに、君って子は……」  皐月の肌は薄っすらと汗ばんでいて、顔はすでに、のぼせ上がるように赤く染まっていた。詠月が耳を甘噛んでそのまま首筋を味わうと、皐月は何度も幸せそうに涙を零した。   「か、噛むの……?」と、眉を下げながら皐月が潤んだ瞳で言うので、詠月は腹の底から湧き上がってくる本能的で獰猛な衝動に襲われたが、まだどうにか持ちこたえている理性で踏みとどまる。 「それはとても魅力的な話だけど……出来たら、発情期じゃないときにお願いしたいかな……」 「俺は……いいよ。詠月さんが好きだから……いいよ……」 「──嘘だよ。君はロマンチストで繊細なんだから。俺が君を好きにならないと君は納得しないよ、絶対にね」

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