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第1話 …どちら様?

どうしよう、どうしようどうしようどうしよう。 なんで俺?特にかかわってなかった、きらきらオーラまき散らしてる王子様キャラに、どうして俺が追い求められてんの? 困惑しながらも、俺は王子様__四之宮 颯真(しのみやそうま)からの求婚に、対応する 「結婚しよ、愛楽!」 「しないっつってんの聞こえないんすか?」 俺、猫雅 愛楽(ねこみや あきら)はごく普通の一般生徒だ。 頭は普通。運動能力も普通。性格はけだるげ。どこにでもいる普通な一般生徒。 ただ、周りと違うことといえば見た目だ。 青くさらさらな髪に、緑の目。肌は白く、すらっとした体つき。顔面偏差値はそこらのモデルを超すであろう。 ここまで聞くと自惚れているように聞こえるが、そうでもない。 家族や親戚類が、とてもじゃないが美形なのだ。 そんな美形一族の血が俺の身体に流れている。そりゃこんな綺麗に育ってもおかしくはない。 そんな、見た目だけが取り柄の俺なんて、だれも気にかけないだろう。 __そう、思っていたんだ。 いつも通りつまらない授業を受け(寝て)、お昼休みに入る。 がやがやとにぎわうクラス。数人でグループを作り、楽しそうにしゃべりながらお昼を食べる人もいれば、一人スマホをいじりながら食べる人、食堂に行く人、寝る人がいる。 俺は、朝適当にコンビニで買ってきたおにぎりを一口、口に含みながらスマホをいじっていた。 ちなみに、買ったおにぎりは鮭おにぎり。おいしくて安い。最高。 黙々とおにぎりを食べ終わり、イヤホンをつけてゆったりとした眠気を誘う曲をかけ、机に突っ伏した。 普通、サイコー…。うとうとしながら、心の中でそっと呟く。襲ってくる眠気にあらがうことなく、意識を手放した。 ———「……、…!」 …うるさい。 ———「…き、…おきて」 なんだよ、人が気持ちよく寝てんのに ———「おきて、アキラくん」 あぁもう、うるさいなぁ。 起きればいいんでしょ、起きれば。 目を開け、体を起こす。目の前にいる知らない誰かを見ないふりしてぐぐっと体を伸ばした。 「よかった、起きてくれた」 「…起こしたのは、アンタだけど」 「それは、ごめんね。気持ちよさそうに寝てたけど…もう放課後だから」 仕方なく、起こしちゃった。なんてきらきらスマイルで告げた誰かさん。 ネクタイの色からして3年生なんだと思う。そして、多分__α。 ふわりと香るαの香り。それからαの証である、襟元のバッジ。 別にαだからどうのこうの言いたいわけじゃない。 ただ、αで顔もよく、性格もいいってチートじゃんって言いたいだけ。 「……で、だれっすか」 「あ、自己紹介してなかったね。俺は四之宮 颯真。キミは…?」 「……俺は、猫雅 愛楽」 「猫雅くんだね。よろしく」 手を差し出され、しぶしぶと握手を交わす。 ……見た目華奢なのに、意外と男の手してんのな。 こいつ(颯真)の第一印象は“キラキラした男”だった

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