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「ダメじゃないよ」は何て言う?

「だから、何でお前もついてくんねん」 「ええやろ、別に。一緒に昼メシ、食うくらい」 「明らかに邪魔しに来てるやろ」 「え、そう? 中原くん、俺、邪魔してる?」  ぱっと振り向かれて、僕は首を傾げた。  二人でわあわあ言っていたけど、窓の外を見ていたからよく聞いていなかった。 「あ、ごめん、何?」 「俺も一緒に昼メシ食べたらあかん?」 「ううん、全然、あかんじゃないよ」  聞いた委員長が笑い出しそうな顔をしている。  あれ、何か変? 「あかんの否定形はあかんじゃないじゃない?」  あれれ? 混乱する僕に二人が笑い出した。  僕もつられて笑う。ホント、大阪弁は難しい。 「えーと、ダメじゃないよって言いたいとき、大阪弁では何て言うの?」 「ええで、って言うたらいいんやで」  委員長の返事に僕は目を丸くする。 「え、そんな簡単なひと言なの?」 「うん」 「ええで?」  二人がちょっと微妙な顔になる。  イントネーションがおかしかった? 「有馬(ゆうま)やったら、ええよ、のほうが合うかもな」 「そやな。ええよかいいよ、やな」 「ええよ?」 「そうそう」  そんな話をしている間に中庭に着いた。

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