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「おはよう、有馬」 「おはよう、委員長」 「おい、なんで智嗣が名前で呼んでんねん」 「いつまでも中原くんなんて呼ぶん、よそよそしいやろ」  委員長から「俺も有馬って呼んでいい?」と訊かれたのは昨日のことだ。もちろん「ええよ」とうなずいた。 「有馬も智嗣て呼んでいいんやで、委員長やのうて」 「うん。この二週間で委員長って呼ぶのに慣れちゃってて。でも名前のほうがいいならそう呼ぶね」 「こいつの名前なんか呼ばんでいいねん」 「なんや、遥清。男の嫉妬は醜いで」 「嫉妬とちゃうわ」 「ほなええやん。名前くらいみんな呼ぶやろ」 「お前はあかん」 「なんでやねん」 「名前呼びを許すんはツレと彼女だけて言うてたやないか」  委員長は人の悪そうな笑みを浮かべた。 「だから有馬はええんやん」 「ほな有馬はどっちなんや? ツレなんか?」  ツレって何だろう?  そう思ったけれど早口の大阪弁でのやりとりに口を挟めない。  本当にこの二人は仲がいいな。

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