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どう返事したらいいのかあれこれ迷っていると智嗣がぽんぽんと遥清の肩を叩いた。
「あんまりがっつきなや。有馬が困っとるやん」
「お前は黙っとれ。なあ、有馬。そないに無理なこと言うとる?」
無理と言うか、恥ずかしいだけなんだけど。
だってそんなの絶対遥清のほうが大人な感じに育ってるだろうから、比べっこしてもしょうがないのに。
でも遥清がなんだかしょんぼりするから、かわいそうになってしまう。
そんなに見たいの?
「えーと…、あ、じゃあ、智嗣と一緒に三人はどう?」
「それは嫌や!」
二人がきれいにハモって、僕は思わず笑い出した。
「ホント、二人は気が合うよね」
「気ぃおうてるんとちゃう!」
「こいつと一緒にせんといて」
「それは俺の台詞や」
「大体、お前が変なこと言いだすからやろ」
「変てなんやねん」
「俺が口説いてんやから茶々入れんな」
二人が口々に言い、その息の合い方はやっぱり幼馴染みだなあと感心した。
そうか、こういうのをツレって言うのか。
「やっぱり僕じゃツレにはなれないんだね」
「は? なんでそうなる?」
「だって二人の息があんまりぴったりなんだもの」
幼馴染みって羨ましいと言ったら、智嗣は「そうやろ?」とにやにや笑い、遥清は「あーあ」となぜかため息をついた。
完
思いが通じる日は来ますかね…(^_^;)
おつき合いいただき、ありがとうございました。
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