128 / 146
Page128:06
「シュン、お風呂入りなさい。」
「はーい。」
勉強していた手を止め着替えを持って風呂場へ向かうと、父さんが入った後だったようで、電気がついてた。
早速湯船に浸かり、ふぅ…と一息つく。
「さすがにEDは…、ないよなぁ…。」
自慰行為なんてただの作業。そんな感覚でしてきたから、オカズなんてなんでもよかったはずなのに。
「…一回勃たなかったくらいで、そんな考えることじゃないか。」
そういう日もあると自分に言い聞かせ、頭を洗おうとシャワーを出した時、ふと、ナオくんの声が脳内で再生された。
イヤイヤ言いながらも、最終的に快楽に負けてしまう、どんな女よりも可愛くて堪らない声を出す…。
「…っ、」
途端、カッと顔が熱くなって下半身に熱が集中した。
止める間も無くムクムクと成長を遂げ、上を向くソレに一瞬フリーズし、「マジかよ…」と眉間にシワを寄せる。
EDではないことに少し安心しながらも、座って自分のを握り込む。
「…んっ、」
まぁ、ここは風呂場だし、勃っちゃったものは仕方ない。
「ぁ…っ、は、ンぅ…ッ…、」
手を上下に動かすたび、くちゅくちゅッと卑猥な水音が風呂場内に響き渡る。
スッと目を閉じて自然に思い浮かぶのは、AVに出てくるような女じゃなくて。
「は…っ、ナ、オく…ん…、」
ダメだとわかっていながらも、やめることができない。気持ちが溢れて溢れて、とまらない。
こんなこと許されない…、けど僕はナオくんのことを…。
「ぁ、も…、イ…く…っ!」
こみ上げる射精感に扱く手を早めると、久々だったからか、すぐ限界に達した。
「すまん、シュン。髭剃り忘れ…」
「…っ!?…ぅ、ぁ…ッ、」
射精真っ只中、忘れ物をした父さんに突然風呂場の扉を開けられ、今更止めようがない僕は、あろうことか見られながら果ててしまった。
「………。」
「は…っ、はぁ…っ、………。」
ビュクビュクと精液を撒き散らし、手の中でビクビクと震え、徐々に小さくなっていく。
「…あー、本当に悪かった。ちゃんと流しておけよ。」
顔を上げれず俯いたままの僕を見た父さんは、困ったように笑いながら髭剃りを取ると、そそくさと出て行った。
「…さい、あく…。」
この瞬間が一番死にたくなったなんて、言うまでもないだろう。
…と、まぁ色んなことがあったけど。
「みなさん、ご卒業おめでとうございます。」
ようやく、この日を迎えることができた。
緒方の協力もあって、ナオくんを守りきった…はず。
ナオくんの友人二人は、学部は違うが、僕と同じ大学を受験して合格している。
そしてナオくんは、就職に進路変更していた。
きっとたくさん悩んで、その道を選んだに違いない。
「か、母さん来るから、少しだけ…。」
胸が痛くなる。
こんな守り方が本当に正しかったのか、わからなくて。
「は、あっ、ん…っも、イク…ッ!」
今になって、こんなことを思うんだ。
****
『はぁ、やっと結婚?長かったねー。』
『はは、お互い年頃の息子がいると、なかなか…、』
『ちょっと?僕はずっと前に賛成して挨拶まで済ませてたんですけど?…自分の臆病さを僕たちのせいにしないでよね、父さん。』
『あー、うーん、だって…。』
『だってじゃない。…たく、もっと自信持ちなよ。自分が選んだ人でしょ。』
『…そうだな。』
僕は、これから住む新しい家のチャイムを押した。
「待ってたわよ、シュンくん!」
「お久しぶりです、麻衣子さん。」
「本当に久しぶりねぇ!あっ、ナオは今部屋に…ゲームでもしてるのかしらね?呼びに行ってもらえる?うふふっ!」
「じゃあ、さっそく!」
中に通され、二階に続く階段を登る。
麻衣子さんは「お茶淹れておくわね!」とリビングへ。
…やっと、この時が来たんだ。
ごめんね、ナオくん。あんな守り方しか出来なくて。
『はぁっ、あンッ!も、だめ…っ!!イっちゃうぅ!!』
『くっ…オレも、出そう…!中に出すよ!』
ごめんね、ナオくん。僕も君に惚れちゃって。
『キてぇ!ナカに…っいっぱい、出してっ!アッあっ!!イくぅ…!!』
「い、く…っ、」
「あの、お邪魔しま…」
だからさ。
「ぅえっ!?」
「え…?」
「…っ、アッ…く…っ、」
「………。」
君も僕に惚れちゃってよ。
「あら?ナオは?」
「…ゲームに集中してたので、話しかけるのやめました!挨拶は父さんが来た時にします!」
ともだちにシェアしよう!