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『聞けよ聞けよ春真!オレ、カノジョ出来ちゃったんだけど!』
『クラスの女子から聞いた』
『んだよー。春真にはオレから一番に言いたかったのにー』
『彼女、出来て良かったな』
『おー…………つーか、おまえ顔それ……なんで目、赤いの。泣いた?みたいになってる』
『こんな時にゴメンな。秋彦には全然関係ないから。……オレ失恋しちゃったんだよ』
『は?このタイミングで!?』
『このタイミングで』
『まあー……そういう事もあるよね!くよくよすんなって』
……また随分懐かしい夢みたなー。中2かなコレ。
初めてオレに彼女が出来た日だよ。
一ヶ月後にはフラれたけどね。
あの時訊けなかったけど、春真は──誰に失恋したんだろうな。
夢に見たって事は、気になってたのかなあ。
でもまあ──最近気付くと春真のことばっか考えてるもんね、夢に見ても不思議じゃないか。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「春真ってーモテそうだよね。顔立ち柔らかいし、料理上手いし」
「なにその突然のお世辞。しかも内面はホメてねえ」
「性格も良いよ。オレのお墨付きあげる。違くてさ、それなのにお前も、彼女と続かないよねって思って」
「ああ、うん。──そうだな」
「…………性の不一致?彼女にペニバン着けろとか言って引かれるとか……つーかお前ってバイなのゲイなのどっち?」
「その下品な脳味噌いっぺん漂白する?あのさあ、一度はっきりさせておこうと思ってたんだよ。ケツいじったのは……ほんのちょっとの好奇心で、男は対象外だよオレは!」
あー本当に?
ほんのちょっと………へえ。
ならなんでオレとヤッてんの?
まあ事実なら、オレが新しい扉開いちゃったね。ゴメンね。
「──続かないのは、オレが……悪いんだよ。つっても性的嗜好の話じゃないから。自分が一番じゃないって感じるんだって。──他に好きな人がいるんだろって言われて、いつも終わる」
なんか他人事とは思えないな。それ言われるよ、オレも。
大抵相手の思い込みなんだよねー。
「でもさ、いないんでしょ?そんなの。食い下がらないの?」
「誤解じゃ……ないからな……。オレ──初恋相手への未練を引き摺ってて。吹っ切れてないから態度に出るんだと思う」
え……なにそれ。
初耳だけど。
おまえの初恋っていつだよ。
分かんないけど……失恋して泣いてるの見たのはあの時、だけだな。
「……それってさあ、中2の時の奴?」
「なんでそんなこと憶えてんだよ──」
「なあそれ誰?」
「お前は知らないよ」
オレ春真の中高の交友関係なら把握してる自信あるよ?知らない奴なんて居ないよね。
────思い当たる節ならなくもないけど。
うん、やっぱそうだろ。それなら色々繋がってくるんだよね。
お前の従順すぎる態度もなにもかも。
けどもし──本当に初恋の奴っていうのがオレの想像以外にいて、いつまでも春真の中に居座ってんなら面白くないよ?
それにカマ掛けてるみたいなお前の言い方、ちょっと気に障ったかな。
「とりあえず告れば?玉砕したらいい機会だから吹っ切りなよ」
「人の積年の想いを──簡単に言うなよ…………もういいよ、この話はやめに…………なにしてんだよ、秋彦」
「いま一番近くに居るのはオレだしさ、オレもこうしたいから抱きしめてるんだよ」
──面白いくらいヘコんじゃったね。吹っ切れって言葉に傷付いちゃった?
オレにそんなとこ、見せちゃダメだろ。お前を泣かすのホント楽しいんだから。
かわいそうな春真、大好きだよ?
「オレが慰めてあげるから。忘れちゃいなよ、そんな奴」
「お前──よく、そんな事──」
「だってオレはお前に感謝してるんだよ。失恋の痛手から立ち直らせてくれたの、春真だから」
「……余計な事、しなきゃ良かった」
「春真、セックスしよ。すっごい濃いやつ。一晩中ずーっと、お前の中に入っててあげる。そのくらいヤれば、全部どうでも良くなるよ」
「どうでも良くなるどころじゃないだろそれ」
「なんて言われてもヤるよ。今すごくお前を抱きたいもん。ね?──優しくするから」
お前また──優しくする、に反応しちゃうんだ。
流れ的に無理あるでしょ。めっちゃ理不尽いわれてんだよお前。
ほんと……オレに甘い。
オレに匂わせちゃう辺りお前も限界近かったのかもしれないけど、どうなんだろうね。
ひょっとしてオレに悟らせないほうが幸せだったかもよ。
最近、暴走気味だったから放っておけばオレから関係をはっきりさせるようなこと言ったかもしんなかった……ないとは思うけどさ。
そんなだからまあ、調子に乗らせたお前が悪いよ。
「じゃあさ、オレが愛してあげるいやらしい穴、自分で開いてオレに見せて。オレに見られるの、好きだよね?」
こんなに恥ずかしい命令も素直に聞いちゃうんだ。
時間かけたねちっこいキスの後だから?
ヒクヒクしてるところ、丸見えだよ。
ちょっと心配になってくるんだけどさ──。
こんなに従順になるの、オレだけにしてよ本当に。
「こんなに小っこい穴の内側 が、オレのちんこでミッチミチになるのに、お前それが悦いんだもんね──いやらしいよね、お前の雌穴」
オレの言葉に反応して腰がモジモジしちゃってる。
ずっと触らないで焦らしてるもんね。
息吹きかけただけで、喘ぎ声漏れてる。
もう指入れてあげるから、いっぱい乱れていいよ。
「──っふ、あ。あああ………っ」
すごい声だね。そんなに欲しかったの。
お前のカラダ、オレに開発されてどんどんエロくなっていってるの分かってる?
「オレの指、気持ち良い?──気持ち良い以外、言っちゃダメだよ」
「っ、ん、き、もちい──」
「ねえ春真?ここは挿れる場所じゃないんだよ?それなのにさあ──雌の性器にしちゃってまで、気持ち良くなりたい春真って、淫乱だよね」
「──そ……じゃない……やだって……そんなこと、言うの……やめ、ろよ──」
「やだじゃないだろ。本当に嫌?ほんとに──やめて良いの?」
「──ご……め……。やめ……な……で」
こういう時だけ、しがみついてくるんだよね。
なんだよそれ。タチ悪い。
ほんと──鳥肌が立つくらいゾクゾクするんだって。
引き剥がしたくなっちゃって。
お前の『嫌だ』を真に受けたフリして、一晩放置してやりたくなるよね。
よくまあいつもいつも、オレの理性ぶっ飛ばそうとしてくると思うよ。
甘いのや優しいのが好きとかウソでしょ。
ホントは壊れるくらい乱暴に犯されたいんだろ。
「いいよ、やめない──でも指は終わり。お前は雌だからさ、オレのちんこで、嫌ってほど気持ち良くしてやるね。オレが出てっても、お前の内側 がオレの形になったらいいね」
ほらズブズブズブって気持ち悦さそうにオレを飲み込んでく。
最初っから相性はかなり良かったけど、
今はもうオレの為の身体って錯覚しそうなくらいにイイよ。
そうなっちゃえばいいのに。
「っは──、エロいなー……っ。オレを……奥まで連れてこうと、してん──じゃん」
「あ──、んん……っ」
「いいよ──オレ春真の中、ほんと好きだよ……春真は?オレのちんこ、気持ち良い?」
「……っいい、すご……もオレ、ワケわかんなく……な──」
「分かんなく、なりなよ。もっと良くなろうよ。
そんで、ずっと悦くしてあげるから──
────オレにしなよ」
「!?っあ──く、っんぅ──」
キッつ──、そんなに、締めたら──血が止まりそう、だって。
どっちでそんなに感じたんだよ。
奥突いたから?言った内容?
まあ──知ってるけど。
「言ってる意味、分かるよね。な、春真──?」
「も──や……だ、秋彦──バカ……し……っね……!」
すごい捨て台詞で絶頂したね。
イくタイミング逃したから、オレはまだまだ犯し続けるけどね。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ほんとに──なんなんだよお前。どういうつもりなんだよっ」
「え?ああ──ゴメン。優しくするって言ったのに、お前がイッた後すごい激しくしちゃったよね。とまんなかった」
そんなに涙溜めた目で睨みつけても、かわいいだけだよ。
にやけてるけどバカにしてるわけじゃ、ないからね。
……ああー、ちょっとは、してるかもな。
でも性格悪いのは知ってるでしょ。
そんなことより、まだ一回目だよ。
一晩中って言っただろ。
目が覚めても足りなかったら一日中しててもいいよね?
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