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第9話 side:凪

緊張に満ちていた保健室が森末の登場で一気に和んだ。 それにしては普段、極力人と距離を取る関根が森末を受け入れている姿は珍しい。 「ごめんね、朝比奈くん。真紀が関根くんに。」 「いや、アイツにあんな風に近づいてくれる人間は少ないからあれでも、喜んでる。」 「そうなの?」 「あぁ、でないとあんな風に素直にしゃがむわけ無いからな。」  あんなに遠かった朝比奈がこんなに近くで俺と話をしてる。 俺はいつもの自分か?   「真紀、僕と関根くんが保健委員になったから、ここまで挨拶に来てくれたんだよ」 「俺はその付き添い」 同じ保健委員に関根がなったんだからこんな風に気軽に話を出来る日が増えるかもしれない。 あんなにたまにすれ違うときに見る事で精一杯だったのに、今は腕を伸ばせば触れられる距離にいる。 今日は奇跡だ。 ただ、贅沢を言うならもう1つ繋がる何かが欲しい。     「そうだ!委員会って言ったら聞いてよ未優。僕も体育会、文化祭委員会になっちゃったんだよ。大変な委員会に決まっちゃった。ジャンケンで負けたせいで~」 その時、神がいた 朝比奈に抱きついて愚痴っている森末から出た言葉に俺は心の中でガッツポーズをした。  「あ、その役員なら俺もだ。よろしくな森末。」 「「えっ!」」 「えって、俺も体育会、文化祭委員会なんだよ。奇遇だな。」 「まじで?じゃあ、僕とジャンケンして!最初はグー、ジャンケンポン。やった!僕グーで勝ち。よっし!」 なんだかわからない森末の勢いで出したジャンケンには負けた俺だった。 神がいたんだよな?   

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