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第1話

はらはらと舞い散る花びらの中に君を見付けた 「見ない顔。この辺りの子かい?」 「えぇ。やっと出てこられました。あなたに会いたかった」 華奢な体つきと透き通るくらいの白さ。頬と唇は舞い散る花びらの色に良く似ていた 「へぇ。俺の事知ってるの?」 「えぇ。」 そのままその子の手を引いて家路を急ぐ。 誘われるままに美しい姿を堪能する。 「そういやぁ。君の名は?」 「ふふ…桜莉。桜莉です」 「そう。綺麗な名だね」 「あなたは変わりませんね。あの頃と同じだ」 「はて?いつのことだい?」 「ふふ…秘密です。ねぇ。もっと私を愛して…桜樹さま」 「あぁ…」 そんな二人の生活は10日ほどだったろうか。 飽きもせず互いを求め同じ香りを何度も纏った 「…おはよう。桜莉…?おや?」 目を開けるともう俺の腕の中にお前はいなくて 「…いってしまったか…愛しい人よ…」 本当は始めからわかっていた。お前の事。ねぇ。桜莉。君は幸せだったかい? もう私もいかなければ。共にいこうと思っていたのにお前は急ぎすぎだな 「あぁ。もうこの木も救われなかったか…」 「楽しみでしたのにね」 「おや?ほら見てごらん。ここに小さな小さな命が…連れて帰ろう」 「そうですね」 あたたかな温もりに抱かれながら新たな土地へ… 「桜莉…桜莉…」 「ん?おはよ。また共にいれますね」 「あぁ。刹那の幸せだがな」 そっと桜莉の肩を抱く。 もっと…ずっと…君と共に

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