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「あ〜くそっ、ガチで変態じゃねーかあいつ」
英理 は悪態を吐くと、苛立ちげに腕を揺らした。
さっきから何度も試しているのだが、ガチャガチャと金属がぶつかる音が鳴るだけで一向に外れる気配はない。
川畑英理 は今正に人生最大の危機に陥っていた。
22年間生きてきた中で一番といっても過言ではない。
数時間前まで、数人の仲間と他愛のない話をしながら腹を抱えて笑っていたのが嘘のようだ。
英理の身体の四肢には革の拘束具が嵌められていて、それはベッドの支柱にそれぞれ固定されている。
服は剥かれた。
下着まで全部だ。
部屋には家具というものが一切なく、窓もカーテンもきっちり閉めてある。
唯一あるのは英理が拘束されているベッドなのだが、どうやってこの狭い場所に押し込めたのかわからないほど部屋いっぱいを占めるサイズだった。
ベッドにはりつけのような状態にされて、どのくらい経過しているのかわからない。
わかるのはここが英理のすむ団地内の一室で、英里をこんな目にあわせたのがその団地の管理人の男である、という事だけだ。
もう一度四肢を揺らして何とか枷が外れないが試してみたがやはり外れる気配はない。
どうにかしてここを脱出する術はないか。
ない脳みそを振り絞って必死に考えてみる。
しかし助けを呼ぼうと大声を出してみても、どんなに力一杯身体を捩ってみても、英理を拘束する枷は外れないし声は枯れるばかり。
「ぁあっ!!もうっ!!」
盛大な舌打ちとともにベッドに沈むとため息を吐く。
どうしてこんなことになってしまったのか…
英理はここ数日の自分の行いを思い返していた。
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