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「いい子だ」
男の大きな手の平が英理の髪をくしゃりと撫でていく。
英理は瞠目して男、鵜瀬 を凝視した。
その表情は相変わらず石のように硬く冷徹なものなのに、英理の頭を撫でていった手の平が思いのほか優しくて驚いたからだ。
確かに鵜瀬は不気味だし気味が悪い。
何を考えているのかわからないし、得体の知れない狂気も感じる。
しかし、命じたことに素直に従えば褒めてくれる。
もしかしたら心底残忍というわけではないのかも知れない。
しかし、そう思ったのも束の間だった。
再び小さなモーター音が聞こえ電動歯ブラシのスイッチがオンになる。
その毛先が次に向けられたのは、しっとりと濡れた英理の性器だった。
英理の顔がみるみる青ざめていき、表情は怯えたものに変わっていく。
そんなもので性器 を刺激されたら、いよいよ正気を保っていられる自信がなかった。
きっと壊れてしまう、今度こそ確実に。
「やだっ…それは嫌だ…やだっ…お願い!!」
懇願する英理を無視して鵜瀬の片手が陰茎をガッチリと握り込む。
先端を剥くようにして敏感な粘膜を露出されて、身体がガタガタと震えはじめた。
想像もつかない刺激を前に、快楽への期待よりも恐怖の方が勝る。
「お願い、なんでも…なんでもするから!!」
もはやプライドも何もかも投げうって哀願するが、鵜瀬はそんな英理を見て肩を竦めただけだった。
「なんでも?おかしな事を言う奴だ」
男は笑みを浮かべ、英理の耳元へ唇を寄せてくるとそっと囁いた。
「なんでもして当然だろ。これからお前は俺の奴隷なんだから」
振動するブラシの先がピンク色をした亀頭に触れる。
英理の身体がビクンと大きく跳ねた。
「ひぃ…っう…ぁあぁあぁ!!」
いきなり過敏な先端を刺激されて、英理は強すぎる快楽に身悶えるとあっという間に精を噴き上げてしまった。
白濁が薄い腹や胸板を白く汚す。
しかし、達したばかりの敏感な陰茎を責める手は弛むことなく続けられた。
ビクビクと脈打つ陰茎を回転しながら振動する歯ブラシが間断なくあてがわれ、拘束された手足の指がぎゅうと丸まり、萎縮する。
快楽を逃がすことができない上に、強すぎる容赦のない責め苦を味わわされて英理はヒィヒィと咽び泣いた。
裏筋を這った歯ブラシが、蜜口にグリグリと押しつけられた時は潮まで吹いて。
「刺激が強すぎるか?ん?でも見てみろ、小せぇ穴クパクパさせて涎ダラダラ垂らして喜んでるじゃないか」
鵜瀬 に促されて恐る恐る自分の股間を見ると、男の言う通り真っ赤になった鈴口は懸命に開閉を繰り返し、濁ったような半透明な愛液をひっきりなしに滴らせている。
いやらしい。
かぁっと顔が熱くなり英理がそう思っていると、まるで見透かしたように囁かれた。
「いやらしい奴だ」
男はうっそりと笑うと、英理の愛液を掬い取りその指を後孔へ突き立ててきた。
久しぶりに感じる独特の感覚に、無意識に男の指を締め付けてしまう。
「や…んんっ…っ!!!」
「ここも物欲しそうじゃないか。あぁ、暫く使ってなかったから寂しかったんだな」
鵜瀬はほくそ笑むと、中に埋めた指をぐりぐりと捻ってきた。
恥知らすな媚肉が悦楽に喜ぶ一方、夫に捨てられた事を揶揄されて胸のどこかがズキンと痛む。
「いや…っやだぁ…ぬ…け…っ抜け…あんんっ」
「嫌じゃないだろ?こんなにアンアンよがってるくせに。良いだ。ほら、言え、言わないと今度はここに突っ込むぞ」
振動する歯ブラシがアナル近づいて来る気配がして、英理はいやいやと首を振った。
悔しくて仕方がない。
けれど命令には必ず従わなければ、本当に後孔 に歯ブラシを突っ込まれかねない。
この男はやると言ったことは必ずやる。
この数時間で、英理はそれを嫌という程思い知らされていた。
調教されているのだ、確実に。
「い……いいっ…いいからぁ…あああっ…んんっ」
英理はとうとう屈服した。
アナルを掻き回され、陰茎は歯ブラシで攻めつくされ、精液と潮を大量にぶちまけながら何度も絶頂を味わわされてもう反抗などできる状態ではなかった。
英理が従うと、男の攻め手はようやくストップした。
「いい子だ」
ぐったりと横たわる英理の頭をまた男の手がクシャと撫でていく。
おかしい。
そんな事あるはずないのに、それがなぜだかとてつもなく嬉しいと感じてしまっていた。
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