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最初の反抗的な態度から一変して、しおらしく謝りだした英理に男の手淫が止まった。
「もう騒がないし、迷惑かけるようなことはしないから…」
畳み掛けるように訴えると、男は静かにベッドから離れていく。
その背中を見送りながら、英理は少しホッとした。
普段の英理からしたら情けない選択だとは思ったが、もう背に腹はかえられない。
とにかく一刻も早くここから抜け出さなければ…この男から離れなければいけないのだ。
男は一度部屋から出て行くと、再び戻ってきた。
てっきり手足を拘束している枷の鍵を持ってきたとばかり思っていた英理は戸惑い言葉を失った。
男の手に握られていたのが鍵ではなく、電動歯ブラシだったからだ。
そんなもので一体何をするつもりなのか。
瞠目する英理の目の前で電動歯ブラシのスイッチが入れられる。
すると歯ブラシが細かい振動音を立てて震えだした。
その感触を確かめるように、男の指先が毛先を撫で上げると青ざめる英理の胸の上に向けられた。
「ちょ…ま…っな…っ?!」
驚きのあまり、自分でも意味のわからない言葉が口をついて出る。
「柔らかいから痛くはないだろ。まぁお前みたいなクソ餓鬼には痛いほうがいいのかもしれないが」
男が下卑た笑みを浮かべながら舌舐めずりをする。
その鷹揚な言葉と態度に、英理の頭にカッと血がのぼった。
許すつもりなんて毛頭ない、つまりそういうことなのだろう。
「くそっ!!ぶっ殺してやる!!」
ブチ切れた英理は、さっきのしおらしさからまた一変汚い言葉で男を罵った。
むちゃくちゃに暴れたせいで手首の枷が擦れて血が滲むが、英理の怒りは治まらい。
しかし男は憤怒する英理にはお構いなく平然とした表情でブラシの先を近づけてくる。
弄られていやらしく尖った乳頭の先端に細かく震える電動歯ブラシが触れた。
「……っ!!!」
その接触は一瞬だった。
英理は目を見開くと唇を噛み締める。
軽く、ほんの少し触れられただけだというのに、その刺激は背筋を震わせるほど強烈なものだったからだ。
そんなもので敏感なそこを刺激され続けたら…きっと正気を保っていられなくなる。
怯える英理の反応を愉快そうに眺めながら、男が電動歯ブラシを再び近づけてきた。
ヴーンという振動が胸の先から広がり、英理は思わず出そうになる喘ぎを必死に嚙み殺す。
今度は一瞬ではなく、押し付けられるようにあてがわれた。
その強烈な刺激は乳首から下半身へ直結し、英理の陰茎をあっという間に勃起させていく。
そこは硬くなっただけでなく、愛液を溢れさせると先端から屹立全体をあっという間に湿らせた。
「どうだ、素直に読む気になったか」
男がくつくつと喉を鳴らして笑いながら、先ほど押し付けてきた誓約書をちらつかせてくる。
「…っ…っ誰が」
悔しまぎれに思い切り睨みつけてそう答えると、男は「そうか」と言って笑った。
唐突に片方の乳首を二本の指先で挟まれると、くびりだした乳首の先に電動する歯ブラシが容赦なくあてがわれる。
「んぅ…ぁ、ああっ…!!」
声を噛み殺す事も忘れてしまうほど凄絶な刺激に、英理は喉を反らして喘いだ。
感じたくなんかないのに、敏感なそこは勝手に快楽を得ると次第に英理をどこかへ連れ去ろうとしてくる。
ピアスだらけの耳をシーツに押し付けて、英理は必死に快楽から逃れようと身を捩った。
このままじゃ男の目の前で達してしまう。
それだけはどうしても嫌だった。
「やめろ」「死ね」「殺してやる」悪態をついて反抗するが、そうすればするほど男の手淫は激しくなり、英理の頑ななものを挫こうとしてくる。
下腹部が不規則に痙攣し、開かされた内腿がビクビクと震える。
先走りがトロリと垂れ落ちる感触がして、英理はついに白旗をあげた。
「よ…む…読む…読むからっ…っやめ…」
涕泣を漏らしながら屈服するとようやく振動が去っていく。
歯ブラシの毛先に弄ばれた乳首はもちろん、その周りの乳暈も真っ赤になって痛々しく腫れ上がっていた。
目の前に誓約書が突き出される。
無言で差し出されたそれを悔しげに見つめながら、英理は掠れた声でその文面を読み始めた。
「…い…一、私 川畑英理は、団地の規律を乱し多くの住人、ならびに鵜瀬洋一 様にご迷惑をおかけしたことを心より反省します。二、反省の証しとして今後、川畑英理 は鵜瀬洋一 様の…せ、…性、奴隷として…お仕え…することを誓います」
そこまで読んで、英理は堪えきれない悔しさと屈辱のあまり嗚咽を漏らす。
「最後までだ」
しかし男が歯ブラシをちらつかせてきたため、英理は唇を噛み締めると残りの文面も何とか読み上げた。
「三、奴隷としての調教中、鵜瀬洋一 様の命令にはどんな事でも必ず従います。四、もしも調教中、歯向かうような態度、行動、言動をした場合どんな罰でも受け入れることを誓います…」
全て読み上げると英理は男から顔を背け涙をこぼす。
快楽という名の暴力に屈せられて気が狂いそうだった。
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