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第50話【了】

「……はッ? な、なんッ!?」  瞬きする間に片腕がなくなって、キョロキョロとあたりを見回すリザードマン。  拘束が解けて自由になった俺は、彼の背後から歩いてくる水も滴る色男を見つめ、困り果てて眉を下げる。 「えぇと、話の続きだが……俺は既婚者だから、そういうお誘いは本当に困る。俺の旦那さんは、その……ちょびっとだけ、過激なんだ」 「…………」 「あっ! しゃる〜まおちゃんどーんした〜!」  お嫁さんと娘をナンパした魔族達の腕を──ちょんぎってしまうくらいには……な。  お怒りのアゼルはニコニコと笑うタローを片腕に抱え、もう片腕にはリザードマンだけではなく違う腕も二本抱えている。  アゼルは、ヒュル、と鎌をくねらせ、いつの間にやらリザードマンの背後に立った。  あぁ、もうひと狩り終えたんだな。  ふた狩りも終えたもんな。  これで終わりにしてくれると思うんだが、どうしてその鎌をしまってくれないんだろう。  やはり二本貰うつもりなのか。  魔族は欠損しても再生するとはいえ、あまりにも過剰過ぎないか。  民衆にバレないように色々隠蔽工作もして、魔力も抑えて、ほのぼのハッピーな海水浴をするんじゃなったったのか。  というか、ちょっと待て。  アゼルの後ろで魔族を丸焦げにしながらユリスに抱きついているのは、まさかリューオか?  聖剣を振り回しているおかげで、ただの人間じゃなくて勇者だと気づいた魔族達が軍に走っているが……。  それを知らされたワドラーはどう思うんだろう。  自分の息子を守ったリューオの不始末だから、握りつぶしかねないぞ。  そして最大勢力は娘を抱いたまま、狙いを定めている。  王様なので存在ごと握りつぶせるだろう。  ──魔王版・海水浴のすゝめ、その五。 「二度と俺の嫁と娘に触れないよう、元を絶ってやるぜ」 「ギャ、ギャーーーーッ!?」  ──こうして。  はじめての海水浴は魔王様による海水浴ルールにより、安全で平和な、ハッピー海水浴と相成ったのであった。  そして同時に、アゼルなしでの海水浴は禁止となったことも、記しておこう。  魔界の海は危険だが、俺の旦那さんより危険な生き物はいないんじゃないか、と思った俺だった。  結  〈あとがき〉  はい。はじめましてこんにちは、木樫です。  リク作にはあとがきをつけております。  こちらは匿名の方からマシュマロにてリクエストいただいた物で、フォロワーさん百人記念リクエスト企画から、ずいぶんおまたせしてしまいました(反省)  申し訳ない……!  アゼルが出不精なのでなかなか本編で外に行かないので、今回のリクエストは非常に楽しかったです!  ちゃんと普通にパパをしている魔王様とシャル。  素直だけど猪突猛進な二人に似ているタロー。  息ぴったりのリューオとユリス。  なかなか愉快なメンツで、また遠足にでも行かせてあげたくなりましたぞ。みんなでおにぎりをにぎるといい。  素敵なリクエストありがとうございました!  そしてこちらの作品で、リクエストいただいた物は終了です。企画にご協力いただき、感謝致しまする!  本編の連載も再開しましたので、番外編の更新はまたしばらく止まる、いやだからこそ息抜きしたくなるのか? うぅん。  とにかくゆるゆるとふざけたくなった時にまた小ネタを投下しますので、お暇な時にでもお付き合いくださると嬉しいですぞ!  いつも木樫の作品を読んでくださり、ありがとうございました。  どんな世界でも最後はハッピー。相思相愛。  そんな作者です。フォローしてくださりありがとうございました!  木樫

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