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~プロローグ~
-雨が降っている。
(別れ話をする日に雨なんて、できすぎだろ)
俺は自分でも白々しいと思うような台詞を並べ立てながら、別れ話をしている。
俺と優紀が兄貴から解放された後(解放された理由なんて知りたくないし、知ろうとも思わない)、俺はすぐ優紀と別れる事を考えた。
こんなに長い間、ペットにしておいて急に手放すなんて、酷い事をしている自覚はある。
でも、兄貴との事を知られた今。
優紀を手放す以外の選択はない。
おまけに俺には今、雅樹がいる。
………雅樹の事は裏切れない。
優紀の顔を見る度に、兄貴の事を思い出す。
俺はそれに耐えられない。
優紀は窓の外ばかりを見ている。
まるで話の内容より雨の降り具合が気になるとでもいうように。
優紀がどれ程、俺の事を好きなのか知っていただけに、この反応は意外だった。
喚いて暴れる…までは流石にないだろうけど、泣いて縋りつく位はされるかなと思っていたのに。
だから、優紀のこの反応に俺は拍子抜けした。
「………聞いてる?」
「聞いてるよ」
そう言いながらも、優紀は窓の外から視線を外さない。
そんな優紀に何故かイラッとしながらも、俺は別れ話を続けた。
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