優紀は俺には逆らわない。 今までが、そうだった。 だから、今回も俺の指示に黙って従うだろう。 そう思っていた。 それなのに。 優紀に嫌だとハッキリ断られカッとした俺は、逃げようとした優紀を掴まえて思い切り殴った。 鈍い音がして、簡単に優紀の身体が吹っ飛ぶ。 その軽さに、愕然とした。 よく優紀を見てみると、俺と出会った頃よりだいぶ痩せている。 だが、そんな事を考えている暇はない。 俺に本気で殴られた優紀は一瞬、驚いた顔をしたがすぐ逃げようと立ち上がり、ドアめがけて走ろうとする。 俺は襟を掴み、引き戻すとベッドに倒しさっきよりは力を抜いて優紀の頬をビンタする。 優紀が何か喚く度に、ビンタした。 暴れる度に、押さえつけてビンタする。　 優紀が本気で嫌がっているのが分かる。 本気で逃げようとしているのが。 何度殴っても、優紀は逃げようとするのを止めない。 両手、両足を振り回して暴れる。 その度に、俺は優紀の頬を叩く。 何度も何度も殴り叩いている内に優紀は気絶をしてしまったらしく、動かなくなった。