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第13話
何故だろう。
優紀の顔を見ると、胸が痛くなりイライラしてしまう。
だからだろうか。
段々、優紀の待つマンションに帰るのが苦痛になっていく。
雅樹と遊ぶ回数が増えて、雅樹の部屋に泊まる回数が多くなっていく。
優紀が留守の時に、時々自分の荷物を取りに来たりしていたが、その度に優紀が用意した俺の分の食事がテーブルの上に置かれていた。
-もう、俺が優紀の食事を食べる事はないのに。
(………早く気付けよ)
1回、俺が服を取りにマンションに行った時、優紀が帰って来た時があった。
俺が服を鞄に入れている間、ずっと俯いていた。
そんなにまでされても、俺のLINEの指示には従っているらしく、客から苦情がきた事はないし、お金は指定の口座に振り込まれている。
今はほとんど一緒に住んでないのに、それでも俺の指示に従っているのは何故だろう………。
……………………………でも。
俺にはもう、迷っている時間がない。
雅樹の事が兄貴にバレるのも、時間の問題だ。
そうなる前に。
優紀の映っている写真を兄貴のところで見つけた時、これはチャンスだと思った。
兄貴から逃げ出すチャンス。
その為にアイツをペットにしたのに。
………何故か迷っていた。
そんな時。
優紀の噂を聞いた女性から、連絡がきた。
男性同士がヤッている場面を見てみたいと。
女性の示してきた金額は高額だった。
(この金額を全て優紀に渡して、最後にしよう………)
そう決めた。
『外で食べよう』と誘うと、満面の笑みで支度をしている。
(…これからどこへ連れて行かれるかも、知らないで………)
俺は優紀の顔から目を逸らした。
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