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#この恋に、終止符を
俺の好きな人は、今日も元気に笑ってる。
おもしろくて、優しくて、誰からも好かれてて、いつもみんなの中心にいるような、そんな奴。人だけじゃなく、忘れ去られてしまいがちな花瓶の花を取り替えるのだって、あいつだけは忘れたりしない。
でも、知ってるよ。どんなに笑顔でも、心の底から笑ってないこと。
「昔から、作り笑いは下手だもんなー」
周りの人は気付いてないけど、ふとした瞬間、あいつは酷く寂しそうな顔をする。…まぁ、させてんのは俺が原因なんだろうけどね。
「あーあ、俺の声が届けばいいのに」
見るだけしかできない俺に、そんなこと叶うはずもない。この距離が、存在が、とてももどかしい。
「せめて、手伸ばして触れる距離だったらなぁ」
こんな思いも、きっと俺だけじゃないから。
お前の寂しさ、辛さ、全部俺も背負ってやる。お前の人生を見ててやる。ゆっくりでいいから、ちゃんと幸せになるんだ。
「人生、生かすも殺すも、お前次第だぞー」
いつまでも囚われないで。前だけを見て。
「…でも、俺のことは忘れないでね」
ポツリと本音を呟いたその瞬間、あいつが俺の方を見て微笑んだ。まるで俺の声が届いたかのように、こちらを見上げたんだ。すぐ目を逸らし友人の元へ行ってしまったけれど。
「ははっ、偶然か?…んでも、まぁ、それだけで十分だ」
一瞬、目が合っただけ。それは、ほんの小さな奇跡。それだけで俺は救われた。
だから俺はお前を見守り続ける。
いつか必ず、お前が本当の笑顔を見せてくれるまで…雲の上から。
「この恋に終止符を打つには、まだ早い」
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