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5日目・再びおばあちゃんの家ー3
「お前……30女相手にストーカーって……マジかよ……」
「何で?いけない?誰好きになろうが俺の自由でしょ?今時不倫くらいで文句言われる事もないともうけど?」
「不倫って……」
遠山が口ごもる。美智も開いた口が塞がらないようだった。
「お前……まだ高2だろ……?」
「何優兄、東京の大学に勤めてる割に、ずいぶん青臭いことを」
設楽がわざと嗤うと、遠山はチラリと大竹に視線を向けてから、口の中で小さく「そういうことかよ」と吐き出した。
「お前が操立ててる女も、水晶をくれてやった女も、その30女か」
「だから何?」
「お前、その女と寝たのか」
「だから何?」
設楽の肯定としか取れない台詞に、美智が「嘘!」と小さく叫んだ。
「旦那のいる30女のどこが良いんだよ!」
「俺の趣味の問題だろ!?」
まだ何かぶちまけそうな設楽の口を、大竹が今度こそ後ろから塞いだ。覆い被さるような大竹の背中に、やっと設楽が大竹を見る。
「設楽、そういうことを軽々しく、最終兵器みたいに人様に投げつけるな!大体それ、もう終わった話だろうが!何で今そんな話をするんだ!」
「だってこうでもしないと、俺はホモ扱いだよ!?この俺相手に女子高生とか。はっ、バカバカしい!」
「設楽!」
大竹がいい加減にしろと叫ぶより早く、美智が青い顔をぐしゃりと歪めた。
「いやっ!そんなオバサンと不倫なんて不潔だわ!智くん変態だよ!気持ち悪い!!」
そう叫ぶなり、美智は踵を返して家から走り去っていった。
「ま、待てよ美智!ちょ……智一、話はまた後でな!」
智一の方を振り返り振り返り、慌てて遠山も後を追う。
2人が消えた家の中はしんとして、まるで時が止まったようだった。おばあちゃんと俊彦はオロオロと設楽の様子を窺っている。急に、蝉の声が大きくなった気がした。
誰も指1本動かせないような長い沈黙の中で、いきなり大竹が手を叩いた。
「さて」
その手の音と大竹の低い声が、設楽を急に現実の世界に呼び戻した。
今自分が立っている場所がどこなのか。
今自分の目の前にいるのは誰なのか―――――。
「それじゃ、楽しいお勉強の時間といきますか。設楽、お前も勉強道具持ってこい」
「え?」
恐る恐る、設楽は大竹を見た。大竹は全く普段通りの顔をしていた。その大竹の姿を見て、設楽の背筋を何かが駆け上っていく。
「あ…、俺、俺……」
冷静になった頭で自分の言ったことを思い出し、そしてその意味を思い出した設楽は目の前が真っ暗になった。
何て事を……何て事を俺……!!
蒼白になった設楽に、大竹は顔色も変えずにもう一度、「聞こえなかったのか?設楽、お前も勉強道具持ってこいって」と告げた。
何を言ってるんだ。俺が何を言ったのか聞いていたのに、そんな、勉強なんて……。
大竹は、今度は設楽を気遣う色を瞳に乗せて、重ねて「ほら、良いから、勉強道具持ってこい」と、設楽の肩に手を置いた。
設楽はどうして良いのか分からないで、大竹の顔を見て、それから俊彦とおばあちゃんの顔を見て、小さい声で「はい」と返事をして部屋に荷物を取りに行った。
設楽の姿が見えなくなると、大竹は設楽の消えた先を暫く見送って、それからおばあちゃんの前で頭を下げた。
「すいません、おばあさん。設楽の行動は、俺の責任です」
きっと、この話はすぐに村中に広まる筈だ。
もしこの話が村中に広まるというのなら、すぐにも東京に帰る設楽よりも、ここに残って暮らしていくこちらの家族に迷惑がかかる。そして設楽があんな風になった責任は、どう考えても自分にあった。
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……美智は自分が一番なので、女子大生ですら「オバサン」扱いです。
美智の発言が大変失礼で申し訳ありません……orz
つうか、智一「30近い」って言ってるのに、
何でこの2人は「30代」だと勝手に脳内変換してるのか。
人の話し聞かないな、遠山兄妹……と、突っ込まれる前に自分で突っ込んでおきます。
うぅう、すいません……💦💦
イヌ吉拝
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